1月26日。ある方からご質問を賜った。仕事を始めようと思っているのにスマホやパソコンでついついSNSを見始め、気が付いたらかなりの時間が過ぎているのでなんとかしたいのだけれど、キムタツさんはそういうことありません?という質問である。ありませんと答え、それなりにやり取りをした。
言うまでもないが、SNSの経営者は「それが狙い」である。だらだらと不毛な時間を費やさせ、こちらが折々に気に入った情報をクリックしている間に個人情報を獲得する。その人に合ったニュースや広告を流し、なんとかして本業に戻らせないようにする。言うなれば、時間泥棒をしているのだ。
SNSといえばInstagram、X、Facebook、YouTube、TikTok、LINEなど多岐に亘るが、自分の情報をばらまくことでカネを得ている人、つまりSNSをマネタイズすることに長けている人の場合、一日に2時間も3時間も、もしかしたらもっともっと長い時間をSNSに費やしているらしい。私が文章で食っているのと同様、彼らはSNSで食っているのだ。
私がSNSで見ているのは、Facebookでは「友達」の情報、Xは海外の報道、Instagramは動物に関係のあるポスト、YouTubeはお笑いとゴルフと健康が専らである。要は住み分けができている。完全に本業(執筆)が中心で、SNSは気晴らしにもならない。全ては人生の充実のためのツールで、有限なる人生の時間を泥棒されるほど間抜けではない。
いつかは死ぬ。健康に生きるのは平均すると70年ほどらしい。だとすれば、私の残り時間は10年そこそこである。なのにSNSに時間を奪われている場合ではない。それぞれがどういう生き方をするのかは自分で決めるべきで、他人がとやかく言うことではないのだけれど、私はSNS中心ではなく、本や新聞や言語や文学に時間を費やすタイプである。
たいていは望んだとおりの人生になる。SNSがもっと見たいなと思う人はさらに見ることになる。見たくないなと思う人の場合、私のようにアプリをスマホから削除するはずだ。削除しないということは「見たい」ということなのだから、SNSにどっぷり浸かっている人はアドラー心理学ではないが「望んだとおりの人生」になっているのであろう。
『ユメタン』や『東大英語リスニング』や『まるまる』など、英語関連の著作が好調らしい。全部合わせると600万部も700万部も売れているということだから、自分で言うのもナンだが大したものである。しかし、大記録を達成した大谷選手が来シーズンはさらに上を目指しているのと同じで、我々作家も「次作を代表作に」という思いが強い。
要は、価値があるとは思えない誰かの投稿を読むのは、時間の無駄なのである。読むにしてもFacebookの「友達」の近況だけで十分である。
木村達哉
追記
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