2月2日。昨夜は灘校56回生の教え子たちと東京で酒を飲み、今朝一番の飛行機で新千歳空港に降り立った。この時期恒例となった英語指導者対象の勉強会である。第一部は北海道札幌国際情報高校の阿部先生がご登壇になり、クイックレスポンスの重要性についてお話しになった。
英語ができない子の場合、必死に意味とスペリングを覚えようとする。スペリングは最初から覚えるようなものではない。海外から来た人が最初っから漢字や平仮名を覚えることはない。英語の音と意味を覚えたら、最初はゆっくりでいいので英語から日本語へ、日本語から英語へ、それぞれ変換をする。そのうちクイックレスポンスができるまで反復する。
授業でクイックレスポンスを取り入れたおかげで生徒たちが志望大学にどんどん合格していったと報告された阿部先生の言を聞き、私の指導と完全に同じだなと思った。英語の勉強は座学と実技をどうバランスよく配合するかが重要なポイントだが、クイックレスポンスは実技である。座学は大事だが、実技がないとリスニングもスピーキングもできるようにはならない。
私からは英語教員として、現在の日本社会を鑑みてすべきこと、持っておくべき考えについてお話し申し上げた。ご存じのとおり、2030年には団塊の世代が全員80代となり、税金と社保料が上がるのは間違いなさそうである。昨年産まれた人が68万人、お亡くなりになった人が157万人。どんどん日本人は減っていく。一方で外国人が増えていく。
メルマガに書いたとおり、この状態で呑気に四択問題だの穴埋めだのに終始していて良いわけがない。英検に合格したからといっても聞けない話せない高校生ばかりである。困るのは確実に彼らであって、彼らが活躍する未来には老人になっている教員が勝ち逃げ組であってはならない。
少子化は政権の失政によるものである。が、だからと言って教育と学校が国と一緒に堕落してはならない。指導者こそ着実に未来を見据え、その未来に生きる人たちを涵養していかねばならない。話せない聞けない日本人は今の大人たちが最後だったと言われる未来を作らねばならない。そういう話をさせていただいた。
木村達哉
追記
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