2月9日。大阪は天王寺にあるSUR予備校で中学生になる保護者に講演。昨秋に同予備校の保護者を対象に講演したところ、えらい好評だったらしく、先生方から今度は新中学1年生の保護者を対象にと依頼されたのである。他人から言われるまでもなく私の講演など大した内容ではないのだけれど、経験とデータに基づいてお話をすることにしている。
この4月から中学生になる生徒たちが高校2年生になる頃、内閣府の推定データによると日本の人口は1億1662万人になるらしい。現在が1億2200万人なので500万人から600万人がいなくなる計算で、要するに兵庫県の人たちが消えることになる。東京への人口流入が激しくなり、地方が疲弊するのは目に見えている。
『未来の年表』をお読みになった方ならご存じのとおり、あと5年後の日本は今とまったく異なるものになっているだろう。日本人女性の平均年齢が50歳以上となり、出生率が人口増加に必要な数字よりずっと低いので、減るのは当然としてもその速度が当初予想されていたよりずっと速くなっている。
昭和時代の価値観で子どもに接すると、大けがをするのは子どものほうである。我々の頃は大学を出てそれなりの会社に入ったり公務員になったりすれば生きていけるという気持ちを持って勉強していたが、今後はどの会社が潰れるかわからない。子ども相手の教育産業は斜陽だと言われているが、必ずしもそうではない。日産のような例もある。
ところが、この話は大谷選手には無縁である。野球を勉強し、あのレベルにまでなると不景気も人口減も関係ない。どんな勉強をするのかは個人によって異なるにせよ、しっかりと勉強して日本一、世界一を目指さねばならない。勉強が嫌いだという子は多いが、それでは貧困から抜け出せない。
親が果たすべき役割は極めて重要であると私は思っている。教えるべきことをしっかり正しく教えてあげないと、子どもは人生についてもカネについても学ぶ機会がないまま大人のようなものになる。
講演の感想に「勉強の目的を子どもにしっかり伝えたい」「中一は子どもという考えを捨てて人生やカネの流れを教えるべきという言葉に首肯した」「子どもがやりたいことが見つからないのは、親がやるべきことを怠っているからかもしれない」などと書かれていた。子育てのお役立ていただければ幸甚の至りである。
木村達哉
追記
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