2月17日。DeNAのルーキーが拙著を入寮の際に持ち込んだというニュースが報じられ、その後はベイスターズファンの気分になっていたが、小学生の頃からドラゴンズファンを名乗っている身として、やはり読谷と北谷のキャンプ地を覗かずにはいられない。恩納村にある犬入店OKのカフェで昼食をとってから向かうことにした。
読谷村は日本で人口が最も多い村であり、宮沢和史さんと平田大一さんが座喜味城でくるちの杜100年プロジェクトを行っておられる場所である。今月は雨天のために草刈りが中止になったので彼らには会えなかったが、私も参加させていただいている関係で、ドラゴンズのキャンプ地にはナビがなくても行ける(と思うが、念のために使った)。
役場のすぐ近くでコスモスフェスティバルが行われている。キャンプ地がある球場の前は美しいコスモスが咲き誇っていた。家族でコスモス畑を散歩したり、他の方々と笑顔を交わし合ったりした。ウチナーンチュは内気な人が多いが、犬を連れているとお互いに打ち解けるのは一瞬である。
球場に向かっていると「この子、可愛いっすねぇ!」と声をかけてくれる人がいた。ドラゴンズの福敬登投手である。国指定の難病で苦しんだ彼だが、すっかり元気になって今年は期待できるのではないか。病気が治ってよかったですねと言うと「ありがとうございます!」と。神戸市出身の福投手には今シーズン、最優秀中継ぎ投手に選出された2020年と同じぐらいの活躍を見せていただきたく思う。
読谷のあとは北谷である。一軍の選手は二軍の若手に比べると体の大きさが違う。細川君や福永君がロングティーでぽんぽんとボールを外野席に放り込んでいる。石伊君が井上監督のノックを受けながらふらふらになっている。3年連続最下位と、球団史上初ともいえる暗黒期に入っているドラゴンズだが、横浜や阪神を新監督たちが変えたように、新監督にはしっかりとたずなを握り、チームを上へ上へと導いていただきたい。
毎年こうして練習を見学するというのは、ある意味で定点観測である。声の大きさ、動きの機敏さ、笑顔の多さなど、厳しいチームになるとまったく空気が違うものである。落合時代の選手たちは気の毒になるほど練習が激しかった。ユニフォームどころか顔を土で真っ黒にしている選手たちがここかしこにいた。
その一方、与田さんや立浪君が監督のときは残念ながらだらだらしていた。特にこの数年はひどかった。朝に球場に入ると、この時間にまだこんなことをやっているのと言いたくなる動きであった。ノックの最中は楽しそうであった。声が出ているといえば出ているのだろうけれども、遊びの延長のようなノックであった。エラーをしても笑っている選手たちが多かった。
彼らはきっと、いや、そんなことはない、こっちも必死にやっていると言うかもしれないが、毎年定点観測的に見学していると森野や荒木や井端といった選手たちと比較してしまう。彼らがまだ若手だった頃、落合監督のノックバットから放たれる白球に飛び込んでいった彼らに笑顔などなかった。
今シーズンは監督が交代となり、選手たちの層が厚くなったこともあって、今年のキャンプは目の色が違う選手が多い印象を受けた。これなら期待できるんじゃないかと思いながら球場を出た。
売店のスタッフさんや他のお客さんから可愛い可愛いと声をかけてもらったおかげで、いろんな人たちと笑顔を交わし合うことになった。さくら様様である。ドラゴンズの選手たちには、最下位脱出などという低い目標ではなく、毎年ドベのチームなのにこれだけ一生懸命に応援してくれる人たちがいることを意識していただき、優勝あるのみという姿勢で練習に励んでいただきたく思う。
木村達哉
追記
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