3月6日。地元の尼崎北高校で講演と授業をした。『まるまる反復英文法総復習BOOK』をお使いになっている同校のS先生から公立なのでお金は払えませんがなんとか…とLINEを頂戴したのである。拙宅から車で15分ほどのところにある学校で交通費は不要だし、昔から大変お世話になっていろんな学校で『ユメタン』などをご採用くださっている先生なので快諾した。
ところが払えるようになりました!とS先生は笑顔を見せてくださった。文科省よ、こういう先生方の声をちゃんと聞けよ。先生方の給与を上げ、備品を充実させ、子どもたちに聞かせる価値のある講演ができる講師にカネを使える教育現場をちゃんと作れ。官僚のなかでは立場が強くない文科省官僚だが、いい仕事をしてくれよ。
と官僚にものを言ってもしょうがない。官僚に命令して動かしているのは自民党公明党なのだから。そんなことを同行してくれたアルク植元君と話しているうちに講演の時間になった。講演は沈みゆく日本でどうやって幸せに生きていくのか、なにを学ぶのか、どこでどうやって生きる予定なのかをしっかり考える機会にしてもらった。
午後からの授業は希望者参加ではあったが、申し込みをしていなかった生徒たちが教室に溢れ、いっぱいになった。英語の成績を上げることはそれほど難しくはない。ただ、他教科と同じで、今日やって明日上がるものでもない。然るべき語彙力と然るべき読書力やリスニング力が身につくまで、最低でも量をこなさねばならない。
我慢する期間にギブアップする人は、大人も子どもも少なくない。自分を律することができるなら教員など要らない。自分でやればいいのである。その点で言えば、教員はがんばれがんばれとお尻を叩くコーチであらねばならないのだろう。灘校時代、私を鬼とか悪魔とか呼んだ教え子たちよ、私に感謝せよ。こっちも辛いのだ。いや、辛くなかったけど。
子どもが歯を食いしばっているのを見るのは楽しい。子どもの辛そうな顔を見ると伸びているなぁと嬉しくなる。楽しそうにしていると、この先どうやって鍛えてやろうかと思う。イチロー選手が野球を楽しんだことなど一度もないと引退のときに仰ったが、英語も然りである。楽しんでいるようじゃ、大して伸びない。
授業後はサインを求める列が長く伸びた。お世話になったS先生、教頭先生、それ以外の英語科の先生方には感謝申し上げます。生徒たちにとっていい機会になったのであれば、私も嬉しい。かく言う私もしっかりと自分を鍛えて、楽なほうに流されないように気を付けよう。楽しんでいるうちはまだまだ。
木村達哉
追記
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