3月7日。大阪府の公立高校の定員割れがニュースになっている。全日制高校128校の内、65校が定員割れ。つまり半数以上の高校が定員割れである。3年連続定員割れになると廃校にするぞと大阪維新が決めたのではなかったか。ということはつまり、半数以上の子どもたちが民間(つまり私立中高)に通う可能性が高くなる。
橋下氏が首長になって以来、不要な箱モノは経費カットのために潰していこうという政策が大阪維新である。定員割れが続いた学校はどんどん廃校になっているのが大阪である。高校授業料無償化の件も、要は不要なものを排除したい政策の一環ということか。その点で言えば、廃校も成功なのだろう。
けれども、寝屋川高校や八尾高校など、大阪府が誇る伝統校も定員割れになっている状況である。大阪の人たちはこれでいいのかなと思わずにはいられない。他県も含めた私学や通信制に流れているのだから、そういった学校にとっては万々歳なのだろうが、今まで教育の根幹を担ってきた全日制普通科の公立高校がそれでいいのだろうか。
学校の教員になりたい人が激減し、どこもかしこも「どこかにいい人はいませんか」である。私が運営するメーリングリストは約4500名の先生方が登録されているが、しょっちゅう「メーリングリストで教員の募集をさせてほしい」というご連絡をいろんな学校から頂戴する。
加えて、生徒数の減少である。東京圏を除くすべての県で2027年あたりから急流すべりのごとく減っていく。教員不足も生徒不足もここからなのである。そんなこたあ遠の昔からわかっているよと言う人たちは教育産業には就職せず、ますます人材不足になっていく。
近い将来、大阪府立高校は北野と天王寺と三国丘だけになるかもしれない。大阪だけでなく、どの県も似たような状況になっていくだろう。なにしろ10年後の小学生の数は現在の半数になると推測されているのである。学校だけでなく塾予備校も規模を縮小せざるを得ないだろう。
どうしてこうなってしまったのか。確かに政治家の失政によるものだが、政治家を選んだり選挙に行かなかったりしたのは国民である。政治家の質が落ちたと嘆きたくなる気持ちもわかるが、変化を恐れて与党を与党のままのさばらせ、野党なんてと否定ばかりし、面倒だからと投票に行かなかったつけが回ってきたのだ。今の子どもたちはどうやって生きていくのかなと心配になるが、せめて自分の子や孫、あるいは周囲の人たちの子や孫には幸せに生きていってほしいし、そのために勉強をして自分のレベルを上げてほしいと願うばかりである。
木村達哉
追記
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