3月8日。昨日は大阪府で公立高校の半数以上が定員割れと報じられ、日本の教育を考える日になったが、今日は今日で教育関連のニュースが、それも国内ではなくアメリカの、というより世界中の生徒たちに影響を及ぼす報道が我々を驚かせた。
アメリカ政府が留学生を対象とする奨学金助成を停止したことがわかった。国務省が予算を拠出しているフルブライト奨学金やギルマン奨学金などが対象と日本経済新聞にある。当然のことだが、これから留学しようと考えている生徒たちだけでなく、すでにアメリカに留学している学生たちへの影響も甚大である。
奨学金助成を再開しなければ、およそ1万人にも及ぶがくせいたちが休学や退学を迫られる可能性が高いと報じられているが、なんともやりきれない。アメリカよ、トランプよ、それでいいのかと言いたくなる。
トランプはMake America Great Again(MAGA)を掲げて大統領に返り咲いたが、海外からの留学生を締め出す可能性がある政策を選ぶAmericaを誰がGreatだと評するのだろう。関税の報道以後、アメリカ株は下がり続けている。関税も奨学金もアメリカ経済をインプルーブさせるための政策だが、皮肉なことである。
社会はカネではなく人が作っている。人は他の人の笑顔のために一生懸命に働く。他人のために働いた人には神様から贈り物が支給される。それがカネである。県民のために働いた人にはそれなりの、国民のために働いた人にはそれより多くの、世界中の人たちのために働いた人にはもっともっと多くの、それぞれ贈り物が「よく頑張った!」と手渡される。
世界中の人びとに貢献する人材を作ることが我々教育畑にいる人間に求められているのが現代である。そういった人たちは休む間もなく働き続けねばならない。音楽にしてもスポーツにしてもビジネスにしても、厳しく自分を律していなければならないし、勉強につぐ勉強である。だからこそ神様からの贈り物は大きい。
多くの若者がそういう人に憧れてアメリカにわたる。母国ではTOEFLで高得点を取る程度に英語を勉強し、アメリカにわたってからは自分の専門領域を極めようとする。アメリカはそういう若者を支援し続けてきた。それがトランプ大統領になって変容したということだろうか。だとしたら、ちっともGreatなんかではない。堕ちたアメリカである。
二日連続で教育について考えることになった。どちらもBad Newsであるのが悲しい。これから世界は、人は、どこへ向かうのだろうね。
木村達哉
追記
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