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私学の生き残りについて思う

2025.03.16(日) 01:00

3月16日。ある先生からメールを頂戴し、彼には直接返信をしたのだが、その内容についてキムタツチャンネルでお話をしたことはすでに書いた。今年の東大英語問題についての分析と来年度の受験生のための対策について(こちら)、そして東大の合格者数を増やすために学校がすべきこと(こちら)の2つの動画である。

それに対してまたメールを頂戴した。東京大学の合格者数を増やさなければ学校(もちろん私学のことである)は生き残っていけないかというような内容のメールである。言うまでもないが、答えは否。東大を増やそうと躍起になり、教育内容が薄くなってしまっては学校のレーゾンデートルに関わるというものだ。

加えて、特に私学の場合、地域に根づいた学校が多い。興南の場合だと東大にはほとんど合格しないかもしれないが、琉球大学を増やせば生き残るだろう。東北の学校であれば東北大学、九州の学校であれば九州大学、関西の学校であれば大阪大学や神戸大学など、決して東大だけにこだわらねばならない理由はない。

ただ、灘校のように、すでに東京大学にたくさん合格者を輩出している学校の場合は事情が異なるように私には思える。今さら地元の神戸大学合格者が増えたところで、それなら公立高校でいいやと思われるだろうし、他の私学だっていいところはたくさんある。灘校には灘校に求められる要素があるのだ。

ニーズを満たしてナンボというのが学校である。その点で、すでに東京大学の合格者を増やし、それなりの評判を得ている学校はそれを維持せねばならないという点では大変だ。そのうえ、東京大学は将来的に外国人学生を30%にする方針を掲げているので、それが実現することがあれば日本人の合格者は現在の30%減になる。

大阪桐蔭高校のようにスポーツや音楽に打ち込む生徒たちと京都大学を目指す生徒たちが違うコースにいて、それぞれが結果を出している学校が増えているように思う。さすがに甲子園や国立競技場だけで生き残っていける私学は存在しないだろうから、学業でもしっかりと結果を残そうとしているのである。

学校も生き物と同様、多様であればあるほど生き残りやすいということか。灘校は勉強だけしていればいいという学校ではないが、それでも保護者や生徒のニーズは進路保障である。西大和学園も然り。子どもの数はどんどん減っていく。特に首都圏以外の進学校がどういう学校経営をするか、注目していたい。

木村達哉

追記
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