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ぐうたら作家論

2025.03.19(水) 09:00

3月19日。来年度の予定が入ってきて、私の手帳の特に土曜日と日曜日はかなり埋まってきた。かなりと書いたが、それでも2年か3年前に比べると随分減らした。セミナーばかりやっていては本が書けないから数を減らす宣言をしたのである。それを受けて、アルクをはじめとする版元が気を遣ってくださっている。

私の場合、講演やセミナーでお足をたくさん頂戴しているわけではない。1冊売れて数十円から100円程度をいただきながら糊口をしのいでいる。したがって、書かなければお粥どころか砂を噛んで生きねばならぬ。キムタツ事務所の税理士からは、もっと講演料の規定を上げたらどうかと言われているが、上げると今度は版元がつらい思いをする。

持ちつ持たれつがいいのだろう。こちらはこれこれこういう本を出してくれと版元から依頼を受け、それなりのクオリティで仕上げて版元に送り、版元は書店なり大学なり学校や塾なりに営業する。読者が低評価を与える本は売れず、高評価でも売れるとは限らず、せめて打率1割ぐらいはヒットを打ちたいものだと思いながらひねもす書く。

先日、ある小説家の方と話したが、まさに私と似たり寄ったりだとわかった。出版社に依頼を受けて小説を書き、原稿をその版元の編集者に渡し、本になったものを営業マンが売るという流れだという。どういうフィールドでも作家というのは同じなのだなと、ということは依頼を受けているうちが華なんだなと、欲をかかないほうがいいなと思うに至った。講演料は据え置きで、粛々と本を書いていくべきだ。

そうはいっても作家なんてものをやるような人間は総じてぐうたらである。私も然り。こんなことをしている暇があるなら原稿を書けばいいのにと自分で思うことばかりである。編集者が待っているのだ!時間を守らないといけない!などと思うまともな人は作家には向かない。コピーライター然り、小説家然り、私の知り合いの作家たちはどいつもこいつもみなぐうたらである。

ぐうたらだから締め切りなど守らなくてもいいのだ、否、しょうがないじゃないかなどと言うつもりは毛頭ない。こちらも守れるものなら守りたい気持ちでいっぱいなのである。ただどうしても表現が出てこないとか、神が降臨しないとかいった日が続くと、気持ちがおかしくなってくる。しょうがなくゴルフをしたり温泉に浸かったり旅行をしたりして脳を刺激し、アイディアをなんとか捻りだそうとしているのである。遊んでいるわけでは、決してない。

木村達哉

追記
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