3月27日。執筆してきた『まるまる反復英文法総復習BOOK(標準)』をすべて書き終えた。原稿を書き終えることは日本語で脱稿と呼ぶのだが、増刷と脱稿とが一番好きな言葉である。よく頑張った。あとは編集者から送られてくる修正原稿に赤入れするだけである。
作家と編集者の関係は、おそらく作曲家と編曲者の関係だろう。何もないところから、つまり0だったところから1にするのが作家であり作曲家である。それに対して、1を100にするのが編集者であり編曲者である。0→1はしんどいが、おそらく未熟な1を100点にするのは創作者へのリスペクトも働くだろうから難しいのではないかと思う。
手元に、たとえば、浅田次郎先生が書かれた原稿があるとする。村上春樹でもいい。そういった作家が自信を持って書いた文章にあなたは付箋を貼れるだろうか。ここは違うと著者に言えるだろうか。なかなか自分の筆力や眼力に自信がなければ指摘できないのではないか。
いろんな本を書いてきたが、編集者の訂正に首をかしげることは一回や二回ではなかった。どうしてわかってもらえないかという思いが強すぎて声を荒げたこともある。そんなことを経て、原稿は本になっていくのである。
三省堂の編集者にとりあえず原稿を送った。実はここから新たなる「闘い」が始まるのだ。おそらく来月には送り返されてくる原稿を見て、「ここは訂正されたか」とか「お、ここはパスしたぞ」などと一喜一憂することになるのだろう。いずれにしても夏には出ることになる私の94作目。待っていてくださる方々ががっかりしない本に、編集者と力を合わせて仕上げていきたい。
木村達哉
追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を火木土の週3通無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。英語勉強法について、成績向上のメソッドについて、いろいろと書いています。家庭や学校、会社での会話や、学校や塾の先生方は授業での余談にお使いください。