勝手に師と仰ぐ浅田次郎先生のエッセイによると、朝から愛犬の散歩にでかけ、午前中は文章を書き、昼食後は夕方まで本を読み、夕食前に愛犬の散歩をして、食事が終わるとお休みになる生活をずっと続けておられるそうです。元自衛隊員ということもあり、なんとなくお酒をお召しあがりになるイメージがあるのですが、一切たしなまれないとのこと。
僕の場合は、4月に左目の手術をしましたので、今はまったく体内アルコール消毒をしておりません。看護師さんから「アルコールは控えてくださいね」と笑顔で言われたからです。この「控える」という日本語が難しい。いつも2合飲んでいる人が1合しか飲まないとなると「今日は控えておいた」ということになるでしょうし。
が、まぁおそらく先方からするとそんなのは屁理屈で、「酒を控えろ」というのはつまり「飲むな」ということなのだろうと良い子的判断をしております。次の診察まではまだ20日ほどありますが、そこまではビールも焼酎も泡盛も日本酒もウィスキーも体内に入れず、健康的に過ごします。都合3か月も酒を抜くことになるなぁ。健康的だ。健康のためなら死ねる。あぁつまらん。
父が脳梗塞で右半身麻痺になったのは、今の僕と同じ57歳のとき。「これからは酒はもうほとんど飲まない!」と宣言し、1年365日毎晩4合は飲んでいた菊正宗を2合に減らして「こんなもん、飲んでいるうちに入るかぁ」としれっと言った父。お酒を飲んで風呂に入り、立ち上がれずに「助けてください」と弱弱しい声を出し続けた挙句、父に助け出された際に「これからはお酒を飲んだら、風呂には入らない」とのたまったのに、翌日に同じことをやらかした母。
そんな天国の両親から「医者に言われたからって酒飲んでないのか?つまらん奴やなぁ!」と怒られそうですが、僕はけっこう医者の言うことを守りたい派なので飲まないのです。つまらん奴でけっこう。
ところが面白いものですね。それほど酒が好きで日々飲んでいたわけではないにしてもそれなりに飲んでいた僕ですが、飲まなくなると飲まなくてもまったく問題なくなってしまっていることに気づきます。
アルコールに限らず、習慣ってそういうもんですね。
かと言って、日本中に友達ができたのも、勉強会が終わってからお酒の場でああでもないこうでもないと腹を割って話をしたからなので、もう酒はやめた!なんて言うつもりはありません。ただまぁ、文章にしても絵にしても修行中の身ですので、少々減らしてもいいかなと思っております。ただし、酒を誘われたら断ってはならないというのが木村家の家訓ですので、誘われたらほいほい出かけていこうとは思っております。
木村達哉拝