大阪市立の小学校で、校長先生が端末の配備や通信環境の整備が不十分なままオンライン授業を導入し、現場を混乱させたとして、松井市長に提言書を提出したことが報じられています。市長は市長で「言いたいことは言ってもいいけれども、大阪市の教育方針とは違います。この方向性が合わないということなら、組織のガバナンスがとれないので、自分で組織から去るべきだと思います」 と、一見するとパワハラじゃないのと思われるようなことをおっしゃっています。
現場側としては、タブレットを「はい、どうぞ」と渡されても困るんですよね。タブレット自体は単なる箱なので、使おうとするとソフトであるとか、通信環境(Wi-Fiなど)であるとかが必要となります。それが整っていないのであれば、市サイドが責任を持って然るべき処置をしないと、現場は困るでしょうね。
そうじゃなくて、ソフトなり通信環境なりの処置をしてあるのに、これどうやって使うねん!と現場が言っているのであれば、それは自分で考えろやと言うことになるはずです。
どちらなのか、報道ではわからないのですが、子どもたちや保護者がオンラインでの指導に不満を抱いていることが推察できます。でなければ、わざわざ校長が提言書をお上に提出するようなことをするわけがないと思うんですね。大事なのは、子どもたちがしっかりと学ぶということですので、たとえば紙ベースの教材を配付して登校日に提出させるとか、確認テストを定期的に登校日に行うとか、自習をしやすいような形態を考えないといけません。
タブレットを配付するというと、なんだか先進的な教育を行っているような誤解を抱きます。が、紙でも学べないのに、タブレットならば学べるなんてことは、理屈から言えばあり得ません。指導者も生徒もやるべきことが増えるのです。タブレットの扱いに慣れている人が指導をしているのであれば良いと思いますが、そうでないなら「先生!フリーズしましたぁ!」という生徒がここかしこからチャットする可能性もあり、そうなるともう何をどうしていいのかわからなくなるはずです。
私立の場合には、情報に詳しい人材とWi-Fi環境が学校にあるはずですので、さすがに今となってはいつ休校になっても指導できる状態になっているはずです。公立はどうなんでしょう。特に小学校や中学校の場合、そもそも自習ができる児童や生徒が多数派ではないはずですので、まずは普段から家庭学習の重要性を教員が説明しておくことですね。そして休校になった場合には、それ!タブレット!というのではなく、タブレットも指導するためのツールのひとつぐらいに考え、上に書いたような体制を明文化しておいたほうがいいと思われます。
木村達哉拝