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層が薄い

2021.05.22(土) 07:10

ドラゴンズは選手層が薄いから弱い!なんて言い方をするじゃないですか。このチームは投手層が薄いとか。でも、どのチームも層は同じなんです。似たようなチーム構成になっています。特にプロ野球の場合は、ドラフトで逆指名制度がなくなって久しいじゃないですか。選手層はほとんど均等になっているんです。外国人の補強も含めて。

でも、弱いチームの選手層が薄いような気がするのは何故なんでしょう。「この人はまだ一軍には無理だ」と未熟な指導者が考え、レギュラーじゃない選手たちに場数を与えないということがよくあります。そうするとどんどん「試合で使える選手層」は薄くなっていくんです。指導者の仕事は、レギュラーが怪我をしても、レギュラーと同じぐらいのパフォーマンスを発揮し、観客が支払ったお金の対価として相応しいプレーを見せる選手を育てることなのですね。そうするとレギュラーは焦ります。努力しないとサブの選手にとって代わられるからです。そして全体が強くなります。

ところが、指導者が未熟な場合、レギュラーばかり使おうとするんです。そうすると、レギュラーじゃない人は試合に出ることができませんので、どんどん層が薄くなるのです。突然、あなたは今日の試合に出なさいと言われて結果が出せるようなものではないですからね。3日なら3日、1週間なら1週間、仕事をさせている間に慣れてくるのは、スポーツだけではなく、どんなプロでも同じです。初日からいい授業をしなさいなんて言われたって、それは無理筋というものです。

ドラゴンズは現在、DeNAと最下位争いをしていますが、二軍は首位なんです。一軍では決まった人しか出場していないので、二軍の「層」が分厚くなってしまっているんです。層が薄いように見えますが、決してそうではなく、新しい人を使う勇気が指導者に欠けているのですね。

これは学校にも言えることなんです。級長や副級長を決めるとき、同じ生徒ばかりが毎年やっているという状態になると、教室の「層」が厚くならないんです。リーダーシップを育むためには、より多くの生徒たちをリーダーにしないといけません。一見すると級長には無理だなと思う生徒であっても、役職が人を育てるのです。失敗すれば? それはその時に考えればいいだけのことです。

失敗を前提にするのはナンセンスです。その生徒が自信を失うんじゃないか、クラスがうまく機能しなくなるんじゃないか、それならいつものA君を級長にしたほうがいいんじゃないか・・・。教員はそういったことを考えがちになります。しかし、もしその生徒が自信を失うなら、それはラッキーです。その生徒が伸びるきっかけとなります。クラスがうまく機能しなくなったとすれば、それは担任の指導力のせいであって、生徒のせいではありません。

より多くの生徒たちを役職に就けるようにするのは、その学校や学年が主体的に動くようになるために、非常に大切な要素なのですね。級長をいつものA君にして、副級長は今まで役職に就いていなかったBさんにするとか、二学期はそのBさんを級長にして、A君を副級長にしてサポートさせるとか、三学期はBさんのをそのまま級長にしておいて、おとなしいC君を副級長にすえて育てるとか、そういった形で集団全体のリーダーシップを高めていく工夫をするのです。そうすると、主体的な生徒たちが育ちやすいのですね。

それはそれとして、ドラゴンズの一軍の選手層が薄いのは指導者の責任です。ファンとしては残念ですが、首位をひた走る二軍の選手たちには腐らずに努力を続けてほしいなと願っております。

木村達哉拝