EUは日本から観光客などの渡航者受け入れを解禁したと発表したそうです。新型コロナウイルスがある程度は抑え込まれているというのが理由と報じられています。それを受けて「ほら!やっぱりオリンピックできるやん!」と言っているお馬鹿な人たちがいらっしゃいますが、論点はそこじゃないのよ。
運動する外国人を受け入れておいて、国民の多くには我慢させているというのが問題点なのであって、橋下徹先生がおっしゃっているとおり、オリンピック・パラリンピックをやるのであれば、お店とか企業とか子どもらに我慢させるのはあきませんでということです。
沖縄では月曜日から公立の学校の生徒たちや児童たちはすべて学ぶ機会が奪われるそうです。感染症の蔓延が原因とは言え、憲法で保障された学ぶ機会が奪われることが、それぞれの自治体レベルで決定されるのは危険なことだなぁと思いながら、新聞を読んでおります。いずれにせよ、子どもたちまでこんな目に遭っているのに、東京の大運動会だけは例外的に行われるというのが問題なのです。
渡航受け入れとはなんの関係もありません。
(画像は紀伊國屋書店広島店さん)
ある事象や現象が起こったときに、それのどこが問題なのか、どこを評価すべきなのか、なにが良くてなにが良くないのか、論理的に考えることは大切です。数学的に分析しながらちゃんと考えることですね。論理的に考える習慣がない人の場合、そんなのどうでもいいやん!的に思考停止に陥ります。もちろんその人の幸せや不幸に連結する問題ではないかもしれませんね、一見すると。
しかし、たとえばその人の幸福度が低い場合、収入が低い場合、あるいはなにかしら生きにくい問題がある場合、もしかするとその「思考停止癖」が原因となっているのかもしれないわけです。東大を出ているとか京大を出ているとか、人生の幸せはそんなのでは決まりません。しかし、論理的な思考ができない人の場合、Aという問題が起こっているのはBとCが原因で、それを引き起こしたのはDなので、まずはDから潰していくか…というような思考パターンにならないので、いつまでも自分の問題を引きずることになりがちです。
EUが日本人を受け入れ始めることと、オリンピック・パラリンピックが東京で行われることには論理的リンクがありません。80%の日本人がオリパラ反対と言っている気持ちを、まるで手品師がテーブルの上のグラスを消すがごとく、心から取り除くことにはつながりません。尾身さんが国会で「普通はない。このパンデミックで」と仰ったのですから、「専門家と相談しながら」が口癖の菅さんには、「安心安全」と傷の入ったレコードのように繰り返すのではなく、しっかり考えて結論を出していただきたいなと願うばかりです。
木村達哉拝