ニュースによると、英語外部認定資格試験(要するにGTECや英検など)を大学入試制度に組み入れることを断念することが発表されました。とても良いニュースです。萩生田文科大臣の「身の丈に合った」発言がなければ、もしかしたら昨年度も実施されていたのかもしれませんね。大臣さん、ありがとう。
そもそもまったく違う複数の民間の試験を、民間ではなくて国の試験に利用するなんて、暴挙以外の何物でもありません。それに書店さんに行くと、たくさんの対策本が、それぞれの民間企業から販売されています。試験を作る側が対策問題集をも作っているのですから、実際の英語力とはまったく異なる力(対策力)が問われることになりかねません。
大阪などは英検を取得していれば高校受験に有利になるので、塾は英検対策に余念がありません。生徒たちも、英語に関しては塾がメインで学校がサブだと聞きます。塾が対策をするのは当然です。生徒たちや保護者がそれを求めているのですから、逆に言えばやるべきでしょうね。逆に、大阪はそれでいいんでしょうか。学力向上には逆行していることを、府の教育委員会は知っておかねばならないはずです。
通訳の柴原先生とよくそういう話をするのですが、GTECや英検を受検するのはまったく問題ないと思うのですね。ただ、対策をしてドーピングを行って、GTEC用の英語力、英検用の英語力で武装した状態でそれぞれの検査を受けても意味なくないでしょうか。使える英語力を身につけようと言われだしてから久しいですが、明らかに逆行しています。
普段からどんなボールが投げられても打ち返せる英語力、街中で突然話しかけられても聞き取れるリスニング力、話し返せる英語力を身につけておくことが大切で、それこそが「使える英語力」なのであって、「TOEICや英検の形式であれば聞けるリスニング力」や「その形式のスピーキング検査であれば話せるスピーキング力」では、仮に合格したとしても(GTECには合格という概念がないが)どうせそんな程度の力では、どんどん英語力が落ちていきます。
昨日、330号線を走っていると「英検から脱却しませんか」という大きい貼り紙が塾の窓に掲げられていました。この「脱却」がどういう意味なのかはわかりませんが、対策からはもう足を洗いませんかという意味であれば、この塾はよくわかっているなぁと思いながら通り過ぎました。対策などは一切せずに受検した点数こそが、あなたの点数なのであり、あなたの本当の英語力なのです。
木村達哉拝