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小山田圭吾さんのニュースを読んで

2021.07.19(月) 09:30

僕は存じ上げない方なんですが、小山田圭吾さんという方がオリンピック・パラリンピック開会式の音楽を担当されているんですね。開会式って23日だからもうあと3日ほどしか残っていないのですが、生徒時代のいじめが原因で、開会式の音楽スタッフとして不適切なんじゃないかと話題になっています。

若いときにはなにかしらやらかしますからね。中学時代、僕にチビ!と毎日執拗に言ってくるクラスメイトがいましてね。ある時、顔面をぶん殴ってやりました。その子は背丈が170センチぐらいあって、体重も80キロぐらいあるような、当時の中2にしてはでかい方だったのですが、チビの僕にぶん殴られて吹っ飛び、翌日から学校に来なくなったのです。心配していると、入院したということでした。うわ、えらいことになったぞと思っていたのですが、退院後にお互い謝りまして、特に問題にはなりませんでした。先生はまったく知らないうちに事が進みました。彼はいま、奈良県で教員をやっています。ちなみに母には報告しました。「お前は悪くない」と、ぼそっと呟いた母は、本当はどういう気持ちだったんでしょう。

で、小山田さんに関しては問題点がいくつかあると思うんです。
1つめは、そもそもそういう人をどうして選んでしまったのかということ。調べれば誰でもわかる程度のことなのに、えらい簡単に人を選ぶもんなんですね。五輪担当大臣でさえも、「知らなかった」を繰り返していますが、いじめというよりも暴行・虐待の犯罪に入る事象ですし、きょうび企業でも採用の際には採用予定者を全員ネット検索するものです。もしも過去になにかやらかしていたら採用しません。まして、国際的な大会のスタッフでしょう。オリンピックのエライ人たちは軽率ですね。

2つめは、小山田さんが雑誌で言っていた障がい者に対する「いじめ自慢」です。うんこを食わせたとか自慰行為を強要したとか、友達が飲み会で面白おかしく語ったとしても、周囲は「お前馬鹿じゃないの?」とか「聞きたくない、帰れ」とか、適切にその「自慢」に対してそれなりの態度をとるんじゃないかと思うんですよね。もしかしたら金輪際その人とは付き合わなくなるかも、否、普通は付き合わなくなるかと思います。そんなことをよく雑誌に載せましたね。その雑誌社が三流なのでしょうけど、明らかに活字メディアとしては廃業してもいいレベルですよ。今後はそういう雑誌を発刊する会社の本や雑誌は一切買うべきではないとさえ思えます。物書きとして強い憤りを感じます。

そして3つめ。こういうことがあると、常に我々は世界中の人々はどういう考え方をされるだろうという視点を持つべきです。すでに背びれ尾ひれ胸びれがついて、小山田さんの暴行・虐待のニュースが世界中を駆け巡っているはずです。僕が然るべき立場の人間であれば、彼を即刻担当から外し、世界に対して「日本はこういう行為を許さない」という姿勢を毅然とした態度で示します。ところがオリンピックの組織委員会は彼を擁護しましたね。そうすると海外の人たちは「日本ってこういうことがあっても弱者側に立たない国なんだ」という考え方をするはずです。それは「日本人ってそういう国民なんだ」という意識につながるはずです。

小山田さん自身が辞意を表明しましたが、これは避けられないことでしょうし、これ以後の人生で彼の音楽が公的に使われるとかCMで使われるとかいったことはなくなるはずです。若い人たちは、昔なら「若気の至り」とされていた行為が、インターネットが世界中を覆っている現在では、何歳になってもそれは自身の傷となって残るのだということを知った上で、行動すべきですね。たった1つの小さいミスでさえも、それがどの会社にも組織にも採用されない原因となることを知って、自らを律することが必要です。若いうちから大変ですけれども、インターネットの発達というのはつまり、そういうことなのです。

木村達哉拝