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How to Learn by Heart

2021.08.08(日) 07:00

先日のアルクのセミナー(英作文の指導法)で、自由英作文の指導について説明したときのことです。質疑応答で「木村先生がよく使うイディオムを教えて」とリクエストされた方がいらっしゃったんです。僕、けっこうなイディオムフリークなので、覚えては喜んで使うんです。本の中でも使いますし、講演中の英語での挨拶でも使います。一番よく使うのが、I have butterflies in my stomach.でしょうか。「緊張してそわそわしています」というような意味です。

また、政治家のニュースを見ながら独り言ちるときに使うのが、read the roomです。先日、他人の所有物を噛んだ馬鹿な政治家がいましたが、ああいったニュースを見て、He doesn’t know how to read the room.(空気読めない奴やなぁ)とつぶやきます。

職場や国などが分断されているのを見て、We’re in the same boat and must work together.と独り言ちることもあります。be in the same boatは「一蓮托生だ、みんな同じ立場だ」というようなニュアンスです。「みんな一枚岩になって協力し合おうよ」というような意味で、上の英語をつぶやきます。また、a walk in the parkを使って、No matter what it is, it’s not a walk in the park to keep going.(どんなことでも続けるって簡単じゃないよなぁ)とつぶやきます。a walk in the parkは「簡単なこと、朝飯前」というニュアンスです。

こういうのばかり載っている本ってあるじゃないですか。ネイティブが使う英語フレーズ集みたいなの。何冊も家にあるという人もいらっしゃるでしょ。でもね、あんなの何冊買っても一緒ですよ。結局は1冊を何周もやって覚えることです。覚えることが一番大事なのです。買うことではなくて。

それにぶっちゃけ、『新ユメジュク』などの受験用イディオム集に載っているものさえ知らないのに、特殊なものをひたすら覚えているのって変です。日本語にかぶれている外国人が「けつの穴から指つっこんで奥歯がたがたいわしたろかい」を知っているのに、「私は腹が立っています」や「開いた口が塞がらない」を知らないようなもの。まずは『新ユメジュク』レベルぐらいは知っておかないといけません。

覚えようと思ったら使わないといけません。しかもかなり反復的に。Twitterでつぶやいてもいいですが、それではおそらく量が少なくなります。本当にそういうフレーズを使って英語を話したいと思うのであれば、独り言を英語で話すことです。ものを考えるときに英語で考えることです。そういうときに覚えたフレーズが使えないかを考えることです。それと、覚えたと思ったフレーズは明日になれば忘れますので、必ず毎日使うことです。せめて1週間ぐらいは連続して。

Twitterを英語で書くのであれば、日に30~50ツイートを目指しましょう。単なる独り言であれば書く必要はありませんので、その程度の量は楽勝です。ただし、スマホでも紙の手帳でもいいのですが、使いたいフレーズはput downしておくことです。そしてその手帳はどんどん増やしていくことです。紙の手帳(コンビニに売っている手の平サイズがお勧め)であれば、あっという間に数十冊になります。出かけるときはそのうちの1冊をバッグに入れておきましょう。

英語だけではないのですが、勉強するときは常に忘れることを意識することです。今やっていることは明日忘れるだろうなと意識するだけで、忘れないようにする意識と努力が生まれます。僕はそうやっていろんなフレーズを頭に刷り込んできました。

木村達哉拝