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9月1日

2021.09.01(水) 09:40

灘校時代の同僚から連絡がありまして、今日から二学期が始まったそうです。さすが灘校。近所の小学校でもすでに二学期が始まっているというのに、9月1日始業式を変えないのは素晴らしい。この流れは20年ほど前に始まったんじゃないかと思うんですね。面倒見がいいでしょ!うちの学校はのんびり休んでいないで勉強させます!という学校が増えました。おかげで教員も生徒も疲弊していますという学校が。だからそれほど実績が上がっているわけでもない学校が。

面倒見がいいって、意味が違うと思うんですよね。うちの学校を選んでくれたら、偏差値が低い子たちでも鍛えて国公立大学に入れますよとか、主体的に放っておいても勉強する子に育てますよとかいうのであれば、それを是とする生徒たちが入学することになると思うんですよね。本来は生徒たちがしなければならないことにまで教員が手を出し、それを「面倒見がいい」とのたまうのは何をかいわんや、単に過保護なだけです。

たとえば、夏休みには補習をしますよという学校が多いですよね。
これが自由参加というのであれば問題ないと思うんですね。自分に必要な講座があれば申し込んで受講するという形式ですね。主体性がなければ選べませんし、計画性や自分の弱点認識も必要です。教員には生徒一人ひとりの弱点などわかるわけがありませんので、自分で判断して選ぶことになります。

ところが、多くの学校では強制参加にしています。夏休みの補習と言っても、要するに授業なわけです。弱点を補うための「補習」ではなく、新しいことをどんどんやっていく授業なのですね。そうすると、一学期や前年度にさぼってしまった子の場合、本来なら夏休みなどのまとまった時間にさぼってしまったぶんの弱点補強をしないければならないのに、授業が行われるものだから、弱点を補う時間がないということになります。加えて、休みが短くなるので疲れてしまいます。なので、成績が悪い子は悪いままということになります。

保護者の皆さんにはあまりそういうことがわからないと思うのですが、夏休みや冬休みがあまりにも短い学校は、僕は良くないと思っています。生徒たちの主体性が奪われ、弱点補強の時間もなく、加えて疲弊してしまうので生徒は家に帰っても寝てばかりいるということになりかねません。学校では補習なんかよりも面談をし、そのうえで自分の弱点を補強する時間を確保してやることが大切です。それで時間が確保されているのにゲームばかりして勉強しない子はどんどん堕ちていきます。堕ちていきますが、そういう子の場合は補習をやっても何をやっても結局は勉強しないので堕ちていきます。堕ちていくのをじっと見ておいて、然るべきときに然るべきアドバイスをすることも教育なのです。

木村達哉拝