先日、ある塾で英語を教えておられる方からご連絡をいただきました。『毎日続ける!リーディング』の構造分析編がいい!という内容のMessengerでした。産みの苦しみのあった本ですから嬉しかったです。静岡の塾のKさんという方なのですが、本当にありがとうございます。
ここまでが主語、ここからどこまでが目的語?関係代名詞節はどこまで?など、生徒さんと一緒に英文の構造を正しく分析しながらゆっくりと読んでおられるということです。(株)SRJの速読を使いながらも、私の本では構造分析をしながら速度を意識しないで正しく読む指導をされているのは、素晴らしいことですね。スピードがいくら速くても不正確では困ります。逆に正確であってもあまりにも遅いと困ります。『毎日続ける!』を使って、文字通り毎日続けていただくと、20日後には構造分析に対する意識が身につくと思われます。
いろんな学校で講演をしたあとには必ず質疑応答のコーナーがあります。速読ができませんがどうしたらいいのでしょうかという質問をよく投げかけられます。共通テスト型の模擬テストなんかで最後まで解き終わらない生徒たちなんでしょう。まずは速読と言っても特殊な方法があるわけではないということを知っておくべきです。上に書いたとおり、基本は「正しく読む」のほうです。
気がついたらそれなりの速度になっている程度には読書(リーディング)の習慣を身につけることです。加えて何よりも大切なことは語彙です。語彙力があまりにもない人が速読できることはあり得ません。共通テストであれば『新ユメタン①』、二次試験であれば『新ユメタン②』ぐらいの単語は知っておきたいものです。また、イディオムの知識も必須です。要するに文中に出てくる英語で知らないことを減らす努力をすると、速読につながります。
読みながら「筆者は何を伝えようとして書いているのかなぁ」と考えます。それが読み取れれば読書は完了するのですね。文中の単語が1つか2つわからなかったとか、この部分の構造が少しわからなかったなどがあったとしても、それ以外の場所から筆者の主張が読み取れるのであれば問題ありません。1行に1つも知らない語彙があるような場合は無理ですけれども。30行の文章だと30語ですからね。そりゃ不可能です。
普段から文構造をゆっくり取る、知らない単語や熟語に出会ったら覚える、読むときは筆者の主張に集中するという3つの習慣を身につけてください。そうすると、速く読めるようになっていきます。どの要素が欠けても駄目。上の3つの習慣がないのにやたらと目を速く動かす練習だけをしていても意味がありません。また、小説や詩は速読の対象から外れます。速読してはいけません。速読は、しようと思ってするものではなく、気がついたら速く読めるようになっているものなのです。
木村達哉拝