ヤクルトとオリックス、どちらも昨シーズンまではあまりパッとしないチームでしたが、今年は優勝しましたね。ひとえに高津監督と中嶋監督のおかげです。このお二人に共通しているのは、どちらもいくつかのチームを転々とし、さまざまな指導者に出会っていることです。高津さんは野村さんの影響を強く受けてはいるんでしょうけれども、それでもアメリカと台湾と韓国でもプレーし、多くのことを勉強されているわけで、その経験値はかなり貴重なものです。中嶋さんは阪急(オリックス)と西武と横浜と日本ハムでプレーしました。
教員なんかでも、特に私学の場合、勤務校のことしか知らないというケースがあるんですよね。そうすると、その学校の価値観が全てな気がしてしまう傾向にあります。灘校なんかだと、東京大とか京都大とかに当たり前のように合格していく生徒たちを見ていますので、そういう環境のことはよく知っているし、成績の伸ばし方にかけては一家言もっているような先生も多いのですが、一般的な公立高校についてはあまり知らない方もいらっしゃるように思います。
そうすると、そういう人が人生をその職場で完結させる場合はいいのですが、そうじゃない場合、えらい物事や常識を知らない人なんだなぁという印象を社会から(つまり他者から)持たれることになります。進学校の先生方が決してエライわけではまったくなく、スゴイわけでもなく、ただ単に生徒たちが頑張ったから合格しただけなのに、自分たちはスゴイと思ってしまう先生方も(灘にはいないと思うけど)おられるように僕には感じます。
その点では高津さんも中嶋さんも苦労人ですから、決して選手たちに不遜な態度をとることもないでしょう。自らの経験を通じて、優勝するために必要な要素をじっくりと検討しながら采配を振るわれたことでしょう。ヤクルトとオリックスのファンの方々、おめでとうございます。
ちなみに僕も灘では23年間、野球部顧問を務めていたんですよ。そのうち17年間は野球部監督だったのです。わははは!一応勲章としては、私学大会に3回、神戸市東灘区灘区大会で1回、優勝をしているんです。報徳にも2回勝ったことがあって、生徒たちから胴上げされました。いい思い出です。
監督をしていたときは、もうずっと勝つことを考えていたように思います。特に、誰をどの打順に置けば打線になるだろうというのは、試合前のメンバー交換の直前まで考えていました。また、補欠の子たちにも試合に出してあげられる場面はないだろうか、いつも応援ばかりしている選手たちを練習試合でもいいから出してあげられないか、そんなことばかり考えていて、僕はへとへとになっていました。
学生の野球でもそんな状態なんですからね。プロ野球の監督というのは精神がなかなかタフでないと務まらないだろうなとは思います。しかし、監督にしても約1億円の年収をもらっているプロ監督なのですから、そこは妥協することなくしっかりと優勝できるようにチーム作りをしてもらいたいですね、ファンとしては。よく「新人監督なんだから1~2年は猶予を与えて」なんて言う人がいますが、えらい甘いことが許されるんやなぁと、僕などは思っています。もちろん監督自身はそんなこと思っていないでしょうけれども。
来年は立浪さんがドラゴンズの監督として、おそらくそれなりには結果を出してくれるように思います。選手の補強をする点とお客さんがスタジアムに来るように営業をする点は中日の仕事ですが、ドラゴンズを強くするのは現場の仕事です。抜け目ない戦略を立てて、ぜひ勝つチームを作ってほしいなと願っております。立浪さんはドラゴンズしか知らないのですが、引退してから他チームをじっと見て勉強している期間が長いので心配ないかなぁと、勝手に思っております。2月はまた、去年できなかったキャンプ地巡りをする予定です。
木村達哉拝