小学校で専門的な教科を教える教員を増員しましょうって言うので、ようやく早いうちから英語を教える危険性に気づいたのかと思ったら、950人の増員なんだそうです。朝日新聞DIGITALで読んで、思わず笑いました。本気で人材を育てる気なんかまったくないのがわかりますね。これで英語、理科、算数、体育の4教科なのですから、単純計算すると1教科あたり237人。現在、国公立の小学校の数が19864校ですので、いかに少ないかがわかりますでしょ。1校あたり1人どころか、1つの町に1人も割り当てられない計算です。
人材を育てるのにはけっこうなお金と時間がかかります。今はネットの無料コンテンツが多くなりましたが、そしてそれも利用すればいいとは思いますけれども、人を育てるのにできるだけお金をかけず、たかだか1000円や2000円の本を高いといってケチっている人が社会で役立つ人材になれるかというと、不可能な話です。
ましてや国がそこにリソースを投入せず、国会議員の給料にばかり税金を使っているような国が発展するわけありません。小学校から大学まで、じゃんじゃん資金を投入し、一見すると無駄だと思えるような学問にも税金を放り込んで、しっかりと論理的に物事を考えられる人材を育てていかないと、何十年後かには(2060年)国民の数が9000万人を割り込むことが確実なのですから、そりゃ国力も落ちるというものです。資源が豊富にないからこそ、人材を育てないといけないってどうしてわからないのでしょうねぇ。
僕などは2060年にはすでにこの世にいないかもしれませんが、現在の小学生たちは働き盛りになっているんです。国際化なんて日本語は死語になっていることでしょう。そりゃ全員が全員、英語ができなくてもいいと思いますし、数学的論理的思考ができない人もいていいとは思いますが、日本を引っ張っていく人材を何百万人かは作らないといけないわけです。そういう人たちが海外に逃げてしまわないようにしないといけないわけで、そうすると教育って最重要ポイントなわけですね。なのに、なにを国全体で海外へのFA宣言を推奨しているんでしょうね。
こういうニュースを読むと、文科省の力のなさを痛感しますね。文科省の「もうちょっと増やしてくれや」に対して財務省がNOと言ったのは、文科省に対する信頼感が薄いからでしょう。そう言えばICT教育を推進しているのも経済産業省ですね。経産省が教育に首をつっこまないといけなくなるぐらい、文科省は駄目なんでしょう。
公立の先生方に聞くと、文科省から届く書類の記入だけで一日が終わるというぐらいナンセンスな仕事に忙殺されるんですって。そんなことをしているから駄目なんでしょうね、文科省って。文科大臣にもうちょっとまともな、リーダーシップの強い人がなってくださって、文科省解体なり改革なりをしてほしいなぁと、将来の日本を不安に思いながら、強く願っております。
木村達哉拝