沖縄に戻っています。今日は県立美術館で作家の根路銘まりさんの作品に触れておりました。日本とロシアを中心に活動の幅を広げておられる彼女ですが、絵として鑑賞できる飾り衣装を手掛けていらっしゃいます。この作品では、人間がガジュマルに包まれながら天に召されていくようすが神々しく描かれていますね。
ご本人とお話しする機会を得たので、いろんなことを質問しました。「刺激を受ける」という言葉は陳腐であまり好きではないのですが、同じものづくりに携わる者として、モチーフを含めてお聞きしたいことがあり、文字通りに刺激を受けました。
根路銘まりさんのオフィシャルサイトはこちらです。
実は、なんと僕のために手作りのラペルピン(スーツにつけるピン)をプレゼントしてくださったんです。「木村達哉さんへ」と書かれた文字を見ながら、ほんまにこんなもの貰ってもいいのやろうかと思いながら、恐縮しながら、帰路につきました。まりさん、ありがとうございました。宝物にします。
人に着てもらうことは想定していなくて、あくまでも絵として鑑賞できる着物(飾り衣装)としての作品だと彼女はおっしゃっていました。僕は絵本を想定しながら絵を描いているので全くフィールドは違うのですが、彼女の「黄泉がえり」という作品(1枚目の写真)を見ながら、こういう描き方ができるんだなぁと、改めて芸術のとらえ方というのでしょうか、新しい視点が生まれたように思います。
どうしても写実的に描こうとしてしまうんですよね。でも、たとえば写真のように絵を描いてしまうと、写真でいいじゃないかということになります。写真や実物を見たとしても、それをどういうふうに絵に落とし込むのかが大事なんですね。
先日は横尾さんの美術館で、今日はまりさんの作品で、勉強をさせていただきました。芸術は勝ち負けではありませんが、僕も負けずにしっかりと描いていかないといけないなという気持ちを新たにすることができました。県立美術館を覗いてよかったです。
木村達哉拝