先日の沖縄タイムスで沖縄県内の教員不足が取り上げられていました。働き方改革の文字が躍っています。が、こんなこと、いつまで言い続けるんでしょうね。早くやれよと思います。特に沖縄の場合、移住者が増えたのと出産率が高いことからこれからもしばらくは人口増が見込まれます。教員不足ということになると、教員に向いていない人まで教壇に立つことになります。誰でもいいから免許を持っている人を!という思考になるからです。
沖縄県だけでなく、この傾向は全国的に見られます。小学校の教員に関して言えば、もう競争率が2倍を切っているところもあります。2倍を切るとさすがに質的低下は確実なものになりますね。私学でも「木村さん、誰かいい人いない?」と、春先にどれだけ多くの学校から連絡をいただくことか。どうしてこんなことになっちゃったんでしょうね。
ひとつには、文科省や教委からまわってくる膨大な書類に忙殺され、生徒への指導にあたることもできない先生方が多数いらっしゃいます。教員じゃない人たちはご存じないと思いますが、本当にくだらない事務仕事が多く、帰宅後も仕事に追われます。映画を見たり本を読んだりする文化的な時間を確保すべき職種なのに、なかなかそういう時間を取ることができません。1日の実質的な勤務時間はかなり長いのです。
また、土曜日や日曜日にも部活動の指導をしなければならないので、他人の子どもばかりを指導するあまり、自分の家族を放置せざるを得ない先生方も多数いらっしゃいます。若い間は全員がそうだと言っても過言ではないかもしれません。かく言う僕も灘校で野球部の監督を17年間やっていました。週末は試合があることが多く、そうなると自分の子どもの試合を観戦することなどできませんでした。
さらに、通知簿や指導要録の記入などにうるさい管理職がいると、そんなことばかりに時間を割くことになります。自分の仕事は子どもたちに教えることだと思って教員になったら、授業以外の仕事のほうが圧倒的に多いということになると、そりゃ「ブラック」という言葉が頭の中を走り回ります。
そういう環境でも給与が高ければいいのでしょうが、仕事とpayのバランスはかなり悪いのが実情です。大学の付属校の場合にはそうではないし、私学の中には医師並みの給与が支払われているところもあります。が、多くは「県に準じる」とされています。その「県」ですが、一般公務員よりは高いとは言え、バランスは悪く、したがって優秀な人材が選ぶ仕事ではないと言われています。
文科省に教員の環境や給与体系を大幅に変えられるほどの権限など無く、したがってこの状況は続くでしょうね。しかし、資源のない我が国において教育の充実こそ最重要課題のはずです。その点で、優秀な人材が教職を目指す環境と財源を確保しないと、早期退職する人たちばかりが増えていく現在の状況は改善されないことでしょう。僕が文科大臣だったら、事務仕事は民間にアウトソーシングしますし、少なくとも公立教員の給与を今の1.5倍ぐらいにはするよう動くでしょうね。財源はいくらでも捻出できることは安倍内閣が教えてくれました。マララさんじゃないですが、日本こそEducation first.です。
木村達哉拝