今日は第一ゼミナールの講師の方々にオンラインで講演をしました。演題が「プロ教師として大切なこと」という仰々しいもので、僕などに話せる資格があるのかなと思いはしましたが、いただいた仕事は断らないタイプでして、恥も外聞もなく60分間のお話をさせていただきました。
教師(塾や予備校の講師)にとって自分のサブジェクトが得意であるなんてのは当たり前のことですよね。英語の教員としてお金をもらっている立場なのにリスニングが苦手なんですなんて言っていたら、アマチュアの人たちが困ります。生徒たちや保護者はアマチュアですから、なんとかしてプロに頼りたいわけです。
と同時に、プロの仕事としては、アマチュアの人たちに対して、こうすれば得意になりますよということを、極めて理解しやすい方法で伝えなければなりません。難しい言葉を使うと伝わりませんので、アマチュアの人たちに理解できるように、できるだけ専門用語を使わずに伝えることが大事です。
さらに言えば、「こんな人になりたいなぁ」と思ってもらったほうがいいですよね。アマチュアの人たちは全員モチベーションが高いわけではありませんからね。なかには嫌だなぁと思いながら学校や塾に通っている人たちだっていらっしゃるわけです。そういった人たちが先生を見て、こういう人になれればいいなぁと思えれば、自分の将来像が見えやすくなりますから、それも大切な要素なんですね。
お前はどこまでできてるねんと言われると辛いところなのですが、少なくとも西大和学園と灘校で教鞭を執っていたときにはそういうことを考えていました。特に、生徒たちにとって自分が目指すべき大人のオプションは多ければ多いほうがいいですよね。「こんな人になりたい」と思う大人が周囲にたくさんいる子どもは幸せだと思いませんか。
それがないと、なんだかわけわからずに学校や大学に進み、機械的に授業を受け、機械的に部活をし、将来はなにをしていいのかわからないという子を増殖させてしまうように思うんですよね。第一ゼミナールの人たちにはそういう話をさせていただきました。まぁ、60分もありましたから、それ以外にもたくさん話しましたけれども。
講師の方々、特に若い人たちがしっかりとこういった研修で学ばれて、目の前の生徒たちを幸せにしてあげてくださればいいなと願っています。こういう機会を与えて下さった第一ゼミナールの皆さん、そして嵯峨さん、ありがとうございました。
木村達哉拝