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メンタルヘルスの子どもたちのニーズに応えるためにも

2022.05.21(土) 01:30

国連児童基金(ユニセフ)によりますと、何らかの心の病気を抱えている10代の若者は13%いるということです。100人に13人ということですので、これを多いと考えるか少ないと考えるかは人によって異なると思いますが、実数にすると世界に1億6000万人以上ということですので、こう考えるとかなり多いように思いますね。

ユニセフは、子どもや親のメンタルヘルスのニーズに応えられないのは、リーダーシップとコミットメントの欠如があるからだと指摘しています。また、メンタルヘルスの支援に投資していくこと、教育や対話によってメンタルヘルスへの偏見をなくしていくなどの「メンタルヘルスリテラシー」を向上させるべきだとしています。

確かにそうだなぁと思うと同時に、これを学校に頼られるとなると教員サイドは困るだろうなと思いながら記事を読んでおりました。メンタルヘルスを抱えている生徒たちへの対応が必要なのは言うまでもありません。しかし、教員サイドにも同じ悩みを抱えている人たちが想像を絶するぐらいたくさんいらっしゃって、したがってそうじゃない先生方に仕事が波のように押し寄せ、彼らもメンタルヘルスを抱える予備軍になっているという現状があるからです。

こんなに苦しいんだったら辞めよう、もっと人間らしい生活をしよう…そう思って教職を辞する人が年々増えています。かく言う僕の周囲にもその理由で退職した「元教員たち」が何人もいらっしゃいます。以前も書きましたが、僕の大学時代の友人はそれが理由で自死を選びました。その状況で学校サイドにメンタルヘルスの問題を放り投げられても困るんじゃないでしょうか。

「子どもたちのために」を錦の御旗のごとく掲げ、自己犠牲のもとに成り立っているのが教職というものです。もう何年も前から同じようなことがメディアで取り上げられていますし、多くの識者たちがそれなりの声を上げてはいますが、負担が減るわけではなく、給与が上がるわけではなく、文科省からの分厚い文書を読むことに追われている人たちもいます。逆に、GIGAスクール構想をはじめとするさまざまな新しい取り組みのためにさらに忙しくなっている教員たちもいます。

困っている子どもたちを救うためにも、身動きが取れなくなっている教員たちの現状を正しく認識し、恐ろしく時代錯誤で時代遅れな取り組みを職場から一掃して、精神的時間的余裕を教員に与えるところから始めるべきではないかと、僕は考えています。それもないのにメンタルヘルスの子どもたちを救うのは教員たちの努力だと言われても、僕は納得できません。

木村達哉拝