学習指導要領が改訂されて、今年度から高校生向けの金融教育がスタートしました。これは良いことだと思いますね。日本ではお金に関係のあることを授業で話しにくい雰囲気がありますし、そもそも先生方に金融の知識があまりありません。専門の英語や数学の話はできても、金融や経済にはなじみがないという方が多いはずです。外部の専門家を招いて金融の授業が行われるのであれば、生徒にとっても、一緒に受講している教員にとっても、いい学びになるのではないでしょうか。
金融教育といっても新しい「金融」という授業単位があるわけではありません。保険や株式、債券、投資などのライフプランニングは家庭科で、フィンテックや仮想通貨は公民で、それぞれ学ぶことになるようです。また、特に年間どれぐらいの時間を金融教育にかけるかは、学校によって異なるようです。
僕などはそんなことを知らずに大人になってものですから、かなり苦労しました。父親に頼まれるまま小切手の裏に名前を書き、突然6000万円の借金を負うことにもなりました。いや、父を恨んでいるわけではありません。また、株や投資の知識もなかったものですから、投資デビューは今年までずれこみみました。灘校を退職して、「おとこもすなる」投資を始めたのですが、始めるといろいろ勉強することになります。証券会社の方にいろいろ教えていただいています。
給与にしたってそうですね。大学生が就職する際にその会社の給与(初任給)が17万とか18万とか書いてあると「お!けっこうもらえる!」と思えるものですが、実際に振り込まれるのは13万程度ですので驚きます。少子高齢化が進むと年金だけで老後を生きることはできませんので、資産運用の知識が必要です。でないと、投資に無尽蔵にカネをつぎ込んでえらい目に遭ったり、逆に銀行に置いておいてお金が目減りしていったりします。
知識というのは武器です。考えるための武器です。知識がないと知恵は働きませんので、クレジットカードが持てるようになる18歳になる前に正しい知識を持たせるのは良いことですね。生徒たちもお金のことになると、英語や数学以上に真剣に学ぼうとするんじゃないでしょうか。今回の改訂はとても良いことだなぁと思っています。
木村達哉拝