昨日の琉球新報「りゅうPON!」では「リスニングができるようになる方法を教えてください」という中学生からの質問に答えました。昔はヒヤリングって言っていたのが懐かしいですね。hearは「耳に入ってくる状態」を指します。意識して聞くlistenとは違います。ヒヤリングを今ではリスニングと呼ぶようになったのはそういう理由です。
で、そのリスニングですが、聞いているだけでは駄目なんです。記事には書きましたが、たとえば僕がまったく聞き取れないアラビア語のニュースやフランス語の会話をひたすら意味もわからずに聞いていたとするじゃないですか。いつか突然聞き取れるようになります?
無理ですよ、そんなの。だって単語も知らないし文法も知らないのですから。それに読むことすらできないアラビア語やフランス語を聞き取れるようになるなんてあり得ません。アラビア語やフランス語のリスニング力を高めようと思ったら、たとえばそれらの言語に含まれる単語とか熟語とかを覚え、日常的な表現を覚え、発音を覚え・・・やることはたくさんあります。聞いているだけではどうしようもありません。
英語の場合、日本語とはまったくリズムが異なります。音が消えたりくっついたりします。たとえば、It’s time to go to bed.を日本人が読むと「いっつたいむとぅごーとぅべっど」と読むはずです。全部の単語を明確に発音するのが日本語ですからね。
一方、English Natives(英語を母語とする人たち)の場合、「ッターィムラゴーラベーァッドゥ」のように発音します。上の段落に平仮名で書いた日本人の発音とはずいぶん違うことがわかってもらえるんじゃないでしょうか。
音読が一時期流行し、学校でもそれなりにやっているところが多いと思いますが、発音やイントネーションやリズムの真似をすることは非常に重要です。それと合わせて、1つでもたくさんの単語や熟語や慣用表現を覚えることです。外国語に限らず、言語の力がすぐに身につくわけがありませんので、たとえば1年後の自分を見据えながら取り組むことですね。
木村達哉拝