先日訪問したある学校でのこと。講演終了後の質疑応答で、みんなの前で挙手したある男子生徒が「僕に気合いを入れてください」と言いました。いや、俺はアントニオ猪木じゃないからさと申し上げたのですが、本人はいたく真剣な表情です。しょうがないので、こういう話をしました。
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僕もキミと同じでだらしなく生きていたんや。高校2年生までは。でもな、祖母の通夜と葬式でみんなが彼女の人生を振り返っているとき、「今、僕が死ぬとみんなはどうやって僕の人生を振り返ってくれるのかな」と考えたんやな。
だらだらしながら生きている僕が褒められることはなく、むしろ「あの子、ええ子やったなぁ」とか「あの子、アホやったなぁ」とか言われるんじゃないかと。「いい人やなぁ」なんて、具体的に褒めるところのない人に対して使う言葉やんか。僕はそんなん嫌やなぁと思ってさ。
せっかく生まれてきたのに、「あの子、アホやったなぁ」なんてまっぴらごめんやろ。ライバルを蹴散らして生まれてきたのにさ。別に両親に対する想いが強いわけじゃなかったけど、でもまぁ産んでくれた親にも悪いなぁと思って。だから勉強することにしたんや。
当時の僕なんて、英語の偏差値は30台やったと思うけど、数学や理科に比べれば楽な気がしてな。数学なんかは「ここに補助線を引く」とか、要するに発想力が必要やろ。英語は覚えたもん勝ちやろうと思って、英語の勉強を始めたんや。挫折さえしなければなんとかなるやろうと思って、英語を始めたのが高校2年生。
だらだら生きるのも人生やから、別にええんちゃうかな。でも、どうせ死ぬやろ。僕もキミも。あと何年かすれば永久に寝てられるんやろ。だったら生きてるうちに、何を遺すかなぁ、何を成すかなぁなんて考えて、自分がやりたいことに取り組めばいいんちゃうかな。
桑田さんみたいに音楽でもいいし、大谷君みたいに野球でもいい。勉強ができないなら政治家になるのもいいし、僕みたいにぐうたらな人間は作家になればいい。生きてる間になんかしとかんと、キミはあと何年かしたら永久の眠りにつくんやで。そのときになって、無駄な人生やったなぁなんて思ってもリベンジでけへんのやから、今のうちにしっかり生きときや。
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と、こういうようなことを申し上げました。彼だけでなく、周囲の生徒たちもシーンとなりましたが、やる気が多少でも刺激されたのであればいいなと思います。
僕は小学校4年生のときからずっと死について考えてきました。死ぬのは嫌です。でも、絶対に死ぬようです。であれば、寝るのはそのときでいいかなと思っています。もちろん健康のために必要な睡眠は確保するのですが、だらだらと寝るのはもったいないなぁと思っています。
それよりも、何を遺すのか、何を成すのか、です。生きているうちに、僕の生きた証みたいなものを1つでも創れればいいなぁと思っています。どうせ大した人生じゃないんですけどね。だけど、1つぐらいは。
木村達哉拝
追記
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