2023年になりました。あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年も毎日更新できるよう、健康に気をつけて暮らそうと思っています。少し昨年までとは文体が変わりますが、僕が書きやすい文体で書いていきますので、ご理解ください。さて・・・
兎年。
鳶目兎耳という言葉に相応しい大人になれればと最初に思ったのは何歳だったか。太宰治や遠藤周作、芥川龍之介の作品に噛りついていた小学生時代。オマエダイジョウブカとおでこに手を当てたのは両親だが、こちらは大真面目にページを繰り続けた。
文豪たちに取って代わり、ニーチェ、フロイト、小林秀雄が自宅の小さな書棚を占領したのは中学生の頃。クラスの女子生徒たちからコノヒトコワイと思われても動じず、本ばかり読んでは不勉強で学歴のない両親を誹り、非社会性を遺憾なく発揮していたように思う。
高校に入り、本を開く時間を奪われた。圧倒的な量の宿題と小テストに辟易する毎日で、勉強する時間がなくなった。本を読むにはエネルギー量と体力と知力が必要となるが、そのどれもが「受験勉強」という敵に打ち負かされることになり、知性を奪われた。
毎年、元日になると適当な目標を設定しては手帳に書きつけ、それを潰す年月を過ごしてきたが、今年はそういうことを一切やめ、「原点回帰」という極めて単純で不明瞭なテーマを設定することにした。原点というのはつまり奈良県の小学校と中学校に通っていた頃の、あまりにも未熟で気儘な自分である。そこに戻ろうと思う。
特に経済的野心もなく、良い大学に入って良い仕事に就きたいという願望もなかったあの頃の素の自分に敢えて戻ろうと考えたのは、当時の自分が単に鳶目兎耳に相応しい大人になりたいと願っていたことを昨秋思い出したからだ。
一般的にはジャーナリストに使う四字熟語だから今の自分に使うのは誤用かもしれない。しかし、鳶の目と兎の耳を持って知識と情報を集め、じっくりと思索に耽っては人生に、そして仕事に、生かしていきたいと願う自分にはもってこいの言葉である。今年は「原点回帰」を意識して、極めて不真面目に生きようと考えている。
木村達哉拝