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カッコイイ大人に

2023.01.23(月) 11:00

お勧めの本を教えてくださいと高校生に言われるたびに、本当に読むんだろうな?という気持ちになる。暇があればスマホを開いたり音楽を聴いたり、中には絶望的な顔をしながらゲームをしているのが大半の高校生で、人生をどう生きるかは個人の自由なのでそれ自体を否定するつもりもないが、プロに尋ねるからには読めよという気にはなる。

そしてそのたびに、HPのGOOD READSに何十冊もの本を紹介しているので見たらいいよと笑顔を無料で振りまき、なかでも最近のお勧めは…という答え方をするようにしている(こちら)。

ただ、やはり最近の子どもは気の毒だなぁと思う。大人が本を読まないからだ。本や雑誌を電車などで読んでいるのを常々見ていた我々の世代とは異なり、今の子どもたちはスマホを触っている大人しか見ていない。これでは本を読もうという気にもならないだろう。

日本人の貧困が話題になるが、中には今の日本人の教養レベルを考えると今の給与で十分ではないかという発言をした学者もいる。教育関係者としては極めて暗鬱な気分になってしまう。確かに教養レベルと所得はそれなりに比例するとしても、暗に「教育レベルが低いからね」と言われているようだ。

われわれ大人は子どものモデルにならなければならない。そりゃいつも頑張っているわけにはいかないが、それでもあんな大人になりたいなと思わせることが最高の教育である。それは親も教師も同じ。逆にあんな大人にはなりたくないなという大人が増えれば、子どもも勉強しようとは思わないだろう。

大学を出てもあの程度か、というような大人が増えているような気がする。難関大学と呼ばれる大学を出ていても、家には遅く帰宅し、上司の悪口をこぼし、カネの話ばかりして、生活に潤いがない大人であってはならないと考える。かく言う私も自分の子どもには申し訳ない思いをさせた。当時はかなりの借金を負っていたとは言え。

みずからの人生を反省し、特に若い人たちには私のようになってもらいたくないという想いを込めて、この文章を書いた。ご理解いただければ幸甚である。

木村達哉拝

追記
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