昨年だったか、校則に疑問を感じた生徒(在校生)が頭髪規定の撤廃を求め、大阪弁護士会に嘆願書や署名を添えて、匿名で人権救済の申し立てを行ったことを報道で知った。学校名を見てびっくり。清風高校とある。私の母校ではないか。
清風は大阪の上本町六丁目駅から歩いて数分のところにある学校で、真言宗の教えを建学の精神とする学校である。私は3年間お世話になった。勉強はなかなか厳しい学校ではあったが、話題になっているほども校則が厳しいと感じたことはなかった。報道されている「清風カット」だが、必ず裾と耳もと全体を刈り上げしなければならないという校則があり、今でも呼ばれているのかどうかはわからないが、私の時代には「清風カット」と呼ばれていた。
当時は長髪の生徒が全国的に多かったこともあり、「カリアゲくん」などと呼ばれたものだ。しかし、私のように野球やら剣道やらをやっていた人間にとってはブラックでもなんでもない校則で、そもそも私は小学生の頃から「カリアゲくん」であった。
他の生徒たちも概ねそんなもので、頭髪検査は月に一度あったものの、それに引っかかる生徒たちは流行に乗ろうとして乗り切れない、関西弁で言うところの「いきり」な生徒だけだったように思う。
だから、報道を読んだとき、短髪がお洒落とみなされている現代においては「清風カット」も今風にカットしてもらえば全然問題ないんじゃないのかと思ったものである。真言宗の教えに基づいて短髪でないとあかんのや!とクチでは言いながら、目では笑っている先生方が多かったように思う。先生方も心中では「ホンマハドウデモエエネンケドナ」と思っておられたのではないか。
ただ、東大を訴えた杉浦に関して先日書いたとおり、学校の主役である生徒たちが納得できないのであれば訴訟を起こすなり弁護士会に人権救済の申し立てを行うなりすればよいのである。個人的にはブラック校則とも人権侵害とも思えないけれども、本人がそう考えるならばそうすればよいのだ。
下着の色は白でないといけないとか、ワンポイント入っている靴下はダメだとか、いろんなツマラナイ校則が世の中にはあって、ある意味では中学時代の私も被害者ではあるけれども、大切なことは疑問に感じるのであれば堂々と顔を出して闘うことであろう。
日本人は年金額が下がろうと、税金が爆発的に上がろうと、一部の評論家以外は特に声を上げることなく、デモも行わない極めておとなしい国民である。この度の生徒たちは、学校という閉鎖的な空間でおとなしいヒツジになることなく声を上げたという点に関して、私は素晴らしいと思っている。先生方には真摯に対処していただき、彼らが納得したうえで勉強に打ち込める環境を作ってあげていただきたいと願っているし、そういう学校であると固く信じている。
木村達哉拝
追記
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