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元同僚のご逝去に際して

2023.02.28(火) 12:00

昔から「一月往ぬる二月逃げる三月去る」という。1月から3月はなにかとばたばたしていて、あっという間に過ぎてしまうという意味である。確かに1月は気づいたら終わっていたし、2月も今日で終わり。3月だってひな祭りだ!卒業だ!国公立大学の合格発表だ!終業式だ!花見だ!と言っているうちに去り、気がついたら入学式の季節になっているのだろう。

ただまぁ、人間なんてそんなことを言っているうちに年をとり、そして死んでいくのだから、時間の過ぎ去るのが「早い」のか「速い」のかはわからないが、人生は、ヒトによって多少の差こそあれ、一瞬である。死ぬときになれば、もしかしたら誰しも「あっという間だったな」と思うのかもしれない。

でも、早すぎる死を目の当たりにすると、我々はやはり動揺する。

灘校時代にお世話になった元同僚がお亡くなりになった。私より2つ年上だから61歳か。詳細はわからないけれども、大動脈瘤がどうのこうのと別の元同僚から連絡が届いた。こう見えてあまりうろたえないタイプであるが、かなり深い悲しみに包まれていて、体も心も凍りついている。

共に野球部の顧問を務めた。彼は報徳の野球部の出で、だから監督になったばかりの私は困ったら彼の携帯電話を鳴らした。こういうときはどう指導すればいいんですかと問う私に、Iさんは「きむちゃんは考えなくていいねん。選手に考えさせるねん」と教えてくれた。

一昨年の秋、HUB沖縄のコラムを読んだ彼からショートメールが届いた。きむちゃんの文章はほんまにええな。俺アホやから専門的なことはわからへんけど、えらい人の文章よりきむちゃんの文章のほうが読みやすくて好きやわ。がんばりや、と。

秋にゴルフをした際には、めちゃくちゃウマなってるやん!退職してゴルフばっかりやってるんちゃうか!と笑いながら。そして、別れ際には「文章で生きていくのって大変やろ。大変やろうけどな、健康に気をつけて頑張りや。また灘に遊びにおいでや」と声をかけてくれた。

心優しい先輩の突然の旅立ちに珍しく心を乱している。でも、人間ってのはそういうものなんやろうね。だからこそ今日がthe last day in lifeと思って生きないとあかんのやろうね。そうは思ってみるものの、なかなか割り切れない。文章も上手く書けない。

木村達哉

追記
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