先日、YouTubeの英語勉強法チャンネルを見ていたのだが、受験に成功した大学生が英語に関してウソを自信満々に述べていた。コメント欄には「わかりやすかったです!」「目からうろこ!」などの文字が躍っていた。
誰もが自由に発信できる環境は平和でいいのだけれども、彼の発言を真に受けてそのまま覚えてしまう受験生が少ないことを願う。もしかしたら出版社とタイアップして何らかの教材を買わせようとしているのかもしれないが、英語学習者にとっては迷惑千万である。
プロのチャンネルもたまに拝見するけれども、この発言はどうなんだろうと思えるようなものもあり、これも上記と同様に、この国は自由な発言を謳歌できるという意味ではいいのだろうけれども、その発言をチェックするヒトはいなかったのかと、時として思う。
この問題集さえやっておけば間違いないですよ!というような発言は全てミスリードである。リテラシーのある受験生や英語教員なら誰でもわかるだろうが、純粋で素直なヒトほど騙される。この問題集さえやっておけばというような教材はこの世に存在しない。
もちろん思い込みによるミスは誰にでもある。かく言う私も、自分が確固たる信念を持って書いた文章を編集者に訂正され、「あれ?そうだったの?」と赤っ恥をかくことがある。ただ、YouTubeとは違って、書籍の場合にはそれなりのチェッカーがいる。
私の場合、一般的にはネイティブが最低でも2名。アメリカ出身とイギリス出身の両方に目を通してもらう。日本人の英語科教員にも数名お願いし、進研ゼミの赤ペン先生よろしく気づいた点をゲラにどんどん記入してもらう。最終的には編集者と著者自身の目でじっくりと文章を舐めまわし、いよいよ出版となるのである。それでも瑕疵があるのだから、作業は慎重に慎重に行う。
YouTubeの軽さがそうさせるのだろうけれども、あまりに上記のようなチャンネルを信じると、傷だらけの英語を書いたり話したりすることになる。それは私のチャンネルも同じである。気軽に収録ができるYouTubeの軽さは悪くないが、書籍に比べるとミスがあまりにも多いようだ。まともに英語を勉強しようと思われる向きは、各自の英語力に応じて書籍を繙くべきだろう。
木村達哉
追記
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