九州にある学校の生徒が「他の教科でも5STAGEを作ってほしい」と英語の先生にメッセージを発信した。その先生から画像付きのMessengerをいただいた。5STAGEというのは無論、私が書いた『5 STAGE英文法完成』である。
先日の天理高校の生徒たちによるラグビージャージのポストにも書いたとおり、英語に限らず教材というものは生徒たちから忌み嫌われるものなので、こういうのは著者としては嬉しい限りだし、おそらく生徒たちにそう思わせる先生のご指導が素晴らしいのだろう。
私の高校時代は人生の黒歴史で、教材に愛を感じることはなかったし、ほとんどの教材を学校に置きっぱなしにしていた。そんな生徒の成績が高いはずもなく、長期休みの直前に行われる三者面談ではいつも母が呼び出されていた。成績が平均レベルであれば呼びだされていなかったのだから、よっぽど悪かったことになる。
母は内職が忙しかったので、いつも「またかいな」と言ってはいたが、勉強しろとは言わなかった。それより担任に対して「成績が悪くてもこの子は大丈夫」と言い続けてくれた。落ちこぼれの私にとって、母の言葉がどんなに救われたことか。
高2の秋だったか。祖母がこの世を去った。それが私の転機となった。どうにも駄目な自分と決別したかった。勉強というものを生まれて初めて始めたのがその時だった。中1の教科書からやり直した。みんなが『CROWN』という高2用の教科書をやっている間、私だけは『New Prince English Course』の中1用を開いていた。
そんな私が灘校で英語を教え、90冊もの英語の本を出しているのだから、人生はわからない。どこで始めるかが問題で、始めれば、そして続ければ、誰でも英語ぐらいはできるようになる。
『5 STAGE英文法完成』が生徒たちの学びのきっかけになれば嬉しい。こんなに何度も何度も反復しなくてもいいでしょと思っている生徒たちだってなかにはいるだろう。でも、大事なことは、自分は大したことがないから何度もやらないといけないという気持ちじゃないか。少なくとも東大に入る子たちは「自分は本当に忘れっぽい」ということを知っている。知っているからこそ、文句を言わずに反復するのだ。
今できなくてもまったく構わない。大事なのは生まれついての能力ではない。できるようになりたいという気持ちの強さであり、さぁそろそろ始めるかと思ったのであれば、つまり自分との約束をしたのであれば、挫折せずに続けることである。
木村達哉
追記
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