ある企業から依頼されている模試作成が終わり、また著作の執筆に戻る。模試と著作との違いはかなり大きい。前者の場合には個人のこだわりなど一切なく、先方からのリクエストに100%お応えするが、後者の場合には「木村達哉」という名前が出る以上、納得できなければ分量的に書きあげたとしても破棄することもしばしば。
模試のリクエストと言えば平均点である。だいたい40%ぐらいの平均点になるように作ってくださいと言われれば、長年の勘に基づいて語彙レベルを調整することになる。英語の「難しい」には2点あって、一つには語彙レベルが、もう一つには内容が、それぞれ「難しい」のである。
ただ、私が「この程度なら」と思っても生徒にとっては「難しい」と感じることがあるはずだ。英検2級レベルのビギナーの語彙レベルはかなり低いので、英語のプロが作る場合には簡単過ぎて屁が止まらなくなる程度でちょうどいい。
内容的に「難しい」というのはこれまたけっこう大変で、私にとっては物理や数学が難しいと感じるのだが、生徒たちが何を難しいと考えるかがわからない。哲学的で抽象度の高い内容の文章の場合には日本語で読むのも難しいはずだが、あまりにも難しくなると今度は平均点が大変低くなる。湯加減匙加減が難しいのである。
いずれにしても、模試の場合は私ではなく、その企業が批判されることになるので、私の基準やこだわりで作るわけにはいかない。企業にご迷惑をおかけしないように作る。一方、著作の場合も難度調整は難しいが、私の名前が出る以上、批判を受けるのは出版社ではなく私である。私が批判を受けるのは私に瑕疵があるとお考えなのだから受けて立つ。
木村達哉
追記
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