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譜久里武さんを祝う会にて

2023.04.14(金) 08:00

譜久里武さんとは、彼が私のラジオ番組に出演してくださって以来のご縁である。沖縄に戻るたびに彼からのLINEが届く。いつ空いていますかという短いメッセージ。いついつなら大丈夫ですよと返信すると、では飲みましょうという軽やかな返事がすぐに届く。

彼はマスターズ陸上で世界一になった男である。高校時代に走っていたわけではない。むしろ陸上を始めたのは高校3年生の卒業も近づいた頃で、その頃にはまさかご自分が世界一になろうとは思っていらっしゃらなかったはずだ。大学に進んでからもしばらく中断していた陸上を、自己嫌悪に苛まれて再開してから花開いたのである。

といっても大学卒業後には陸上をやめてどこにでもいるような会社員をやっていた彼が、40歳代になってからタレントの武井壮氏やオリンピックメダリストの朝原宣治氏とともにマスターズ陸上の世界大会に出場し、見事に金メダルを獲得するのだから人生はわからない。

その彼が世界マスターズ陸上のポーランド大会に出場し、世界第2位に輝いた。すでに52歳になった彼が世界に再度挑戦し、銀メダルを獲得したことは驚嘆に値する。祝福のLINEは「おめでとう!4月に戻ったらビールをおごりますよ」と打った。世界第2位の男からはいつもどおり即座に返事が戻ってきた。あざっす!と。

呼びかけに応じて、お笑い芸人のパッション屋良さんとじゅぴのりさん、ミュージシャンの山原麗華さんとナオキ屋さん、ラジオパーソナリティのモーリーさん、書道家の我部天心さん、バレーボール選手の永井さん、アスリート工房の比嘉さんが集まってくださった。

銀メダルを触らせてもらったが、ずっしりと重くてまさに努力の結晶。今後の予定はと伺うと、次の大会では1位になります、と。50歳を過ぎて体力の衰えを感じる私とは雲泥の差で、彼が輝いてみえた瞬間だった。

人はこういうヒトを見ると、あの人は特別だと考えがちだ。大谷選手然り、村上選手然り。しかし、その特別な天才たちは毎晩猫背になってビールを飲んでいるのだろうか。眠くなったから今日の勉強(練習)はもういいやとひっくり返っているのだろうか。それを考えると、特別な才能にあふれているわけではなく、やはり輝いているのは努力の人なのだと信じたい。

この夜は楽しかった。ずっと笑っていた。が、自分を見つめるいい機会にもなった。私は背中を丸めてビールを飲んでいるのじゃないか。眠気との闘いに全敗しているのじゃないか。そんなことを考えながら、譜久里武さんや彼を囲む方々と自分を比べ、次の冬がくれば60歳になる自分も、私の分野には一位とか二位とかのメダルはないけれども、もっと頑張れるなという気持ちでいっぱいになった。

譜久里武さん、おめでとうございます。心からの祝福を。

木村達哉

追記
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