この作品は書道家の我部天心さんによる「花・はな・ハナ」である。数種類の墨による書であって、絵画ではない。「花」と「はな」と「ハナ」。おわかりいただけるだろうか。
実はラ・サールの丸山先生とラグーナ出版主催の読書イベントを鹿児島の天文館で開催して対談したが、その直前にかごしま市立文学館にお邪魔をした。敬愛する向田邦子さんのライフストーリー展示を読んで、私も書を習いたいと心から思っていたところであった。
向田先生と呼ぶと彼女は天国からはにかんだ笑顔でやめてくださいよと仰るかもしれないが、向田邦子さんはまぎれもなく私の先生である。浅田次郎先生、遠藤周作先生、夏目漱石先生、太宰治先生と並び、私にとっては文章の先生であり、どんな文章読本を読むよりも彼女の作品を繰り返し読むことで自分の文章力、表現力は昇竜の如く上達していくと信じている。
その彼女も私と同様に悪筆であったらしい。「中川一政先生の書を壁にかけ、朝晩睨んで暮らしていたが、睨み方が足りなかったのか、お手本が凄すぎたのか、私の字はますますへたくそになってしまった。」とお書きになっている。結果、彼女も週に一回ではあったが、先生を自宅に招き、手ほどきを受けていたという。それを知って、私も書を習いたいと強く思っていたのである。
私も書を書いて身すぎ世すぎをしているのに、特に毛筆に関しては稀代の悪筆である。毛筆で著作にサインができれば、絵本に毛筆でキャプションが書ければ、どんなにか素敵だろうと思いながら、自分の字を見てはため息をついている。
そんな折、譜久里武の世界第二位のお祝いパーティーで書道家の我部天心さんにお会いする機会を得た。厚かましいに「ど」が付く性格の私であるから、彼にお願いをしてご指導を賜ることになった。翌日、さっそく彼の書道教室(沖縄市)に出かけていった。
詳細はFacebookとTwitterに書いたのでここでは割愛するが、約1時間あまりではあったが、私の字は自分で驚くほど上手く見えるようになった。いや、そりゃ達人から見れば鼻で笑われるレベルであるのは重々承知之助なのだが、少なくとも昨日の私よりはマシなのである。
頭は天性の悪さを誇る私ではあるが、一旦決めたら必ず継続できる性分なのは親に感謝をしているところ。英語と日本語は継続力で習得し、禁煙を決めてからはひと時も吸いたいとは思わない。頭の良さより継続力である。
沖縄に戻るのは月に一度だが、書道を天心先生のところで習うことに決めた。さっそく筆やら墨やらを買ってこなくてはならない。始めるときはいつも心躍る瞬間である。継続あるのみ。そのためにはかなり値の張るものを買ってくるに限る。英語と日本語で文章を書き、絵を描き、書を嗜む人生を創っていくことにわくわくしている。
木村達哉
追記
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