県立美術館の「恐竜図鑑」という展示を楽しんできた。特に恐竜に関心があるとか、さかなクンのように詳しいとかいったことではない。むしろ、USJのジュラシックパークに出てくるティラノザウルスやステゴザウルスぐらいしか知らない。
美術館の場合、その画家や題材を知らないからこそ行くという部分もかなり大きいので楽しみにしていたのだが、福井県や海外からやってきた恐竜をフィーチャーした絵画が多数展示されていて、知らないなりに楽しむことができた。
東京の比ではないにしても、大阪・京都・神戸にある美術館ではこれ風の展示が数多く行われているので、情報を小まめにチェックしている。絵心があるというほどではないにしても、曲がりなりにも絵本を出版した物書きであるからして、アンテナを敏感にさせておくのは当然だろう。
高校生の頃は、興味のないものには見向きもしなかった。今から思えばもったいないことをした。読書、野球、ボクシング、プロレスなどが興味の的で、それ以外はつまらないと決めつけていた。ただ、今も昔も高校生なんてそういう生徒が大多数なんじゃないだろうか。
興味がないから触れないというのでは、価値観が広がらず、結果として成長することはない。脳の発育にも良くないんだろう。「一度は真剣に触れてみる」という姿勢が何歳になっても大切なんじゃないかと、今から当時の自分にモノが言えるならば言ってあげたい。そして無理やりにでもさまざまな機会に触れさせたい。
灘校の教員をやって驚いたのは、灘に入学してくる子どもたちの多くが楽器や絵画、自然科学や外国文化にそれなりには触れているということであった。当然ながら、高い経験値を得るためにはカネが必要で、どうしても経済的に苦しい家庭の子の場合、経験値が低くなるのは避けられない。
ただ、それでも大人は子どもにスマホを与えて無理くりゲーム漬けにすることで静かにさせるのではなく、「やったことがないことはやれ」「読んだことがないものは読め」「行ったことがない場所には行け」と、子どもたちに伝え続け、彼らの価値観をできる限り多様にするよう努力すべきではないかと思う。
子ども時代の失敗をなんとかして取り戻そうとして、美術館や博物館だけでなく、人形浄瑠璃やら演劇やらがあると知るとなんとか日を調整して、予約することにしている。来年には60歳になるとはいえ、まだまだ老いてはいられない。知らないことがあれば知ろうとしながら生きていこう。
木村達哉
追記
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