二日前に父の誕生日について書いたが、今日は母の命日である。亡くなったのが2001年の今日だから22年前。つまり今日は23回忌である。亡くなった朝のことは今でもはっきりと覚えている。三日間の呼吸困難。病院の白い壁。うなだれる医師。
家族の死は初めての経験だったこと、父も入院中だったこと、そして私が長男だったことで、周囲にあれこれ聞きながらの通夜式と告別式だった。あまりにも知らないことだらけで、親戚筋から怒られながらの二日間だった。
全てが終わり、一人になった。彼女がこの世から消えた実感はなかった。息子も娘も幼かったが、なにより私自身が幼かった。何も知らないまま大人になって、何も知らないまま初めて「死者を送る」という社会的経験をした疲労感と、そしてなにより強い安堵感に包まれていた。もう怒られなくていいんだという安堵感。
彼女の死を本当に悲しく思ったのはいつだったか思い出せない。どうしても彼女の声が聞きたくって眠れなくなってしまい、朝まで起きていた日があった。あれは彼女の死から五年以上経っていたのではないだろうか。もう会えないという気持ち、もう話せないという気持ちが津波のように押し寄せてきて、涙が止まらなくなった。
母の死から22年。
62歳でこの世を去った彼女のぶんまで、私は一生懸命生きよう。他人の人生ではなく、私の人生を私らしく生きよう。改めてそう思った5月15日。
木村達哉
追記
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