「沖縄の風に吹かれて」を連載し始めたところ、意外なところからご連絡をいただいて驚いている。沖縄の人たちも読んでくださっているのだろうけれども、県外の人たち、特に沖縄が好きでしょっちゅう訪問しているとか、毎年沖縄に修学旅行に出かけている学校の先生方とか、要するにヤマトからの連絡が多いのである。お勧めのお店について書いてくれ、おきなわそばのお勧めランキングを書いてくれ、学校訪問記を書いてくれ、などなど。
私は沖縄が大好きである。が、ウチナーンチュではない、いわゆるヤマトンチュだが、ヤマトンチュとして沖縄やウチナーンチュを見て気づいた点を文章にしている。沖縄の人々が面白いと思うことを面白いと思えなかったり、その逆に私が面白いと思うことを沖縄の人々が面白くないと思ったりする。食事にしても何にしても然り。ヤマトンチュとしての視点で書いていくことに意味があると思っている。
沖縄で最も敏感なトピックということになると、やはり米軍基地である。1972年に沖縄は日本に変換されたのだけれども、数多くの米軍施設が残されることになった。5月15日は本土復帰の日ではあるが、それと同時に沖縄に遺恨を残した日でもある。本土並みになると期待していた思いが完全に裏切られた日なのである。
2023年現在も日本全体の米軍専用施設面積の約70%が沖縄県に集中している。沖縄本島の14.5%が米軍基地に占められる。たびたび引き起こされる米軍兵士による痛ましい事件。そしてそれが日米地位協定によってうやむやにされる。中国が近いのだから我慢しろと言わんが如くに。
沖縄は本土復帰したはずなのに、多くのウチナーンチュは沖縄県外を「本土」と呼ぶ。自分たちはまだ本土ではないという意識が巨大な氷山の下に隠れているからではないか。
ただ、ヤマトンチュの私から見ると、基地問題は極めて重大ではあるけれども、日頃の生活を俯瞰視すると、沖縄の渋滞問題こそまずは解決しなければならないのではないかと考える。国道も県道も朝夕は大変な渋滞地獄である。58号線も330号線も、朝は9時ぐらいまで、夕方は16時過ぎから20時ぐらいまで、恐ろしいほど大変な混みようである。
ウチナーンチュに聞くと、渋滞はもうあきらめているとか、渋滞を当たり前のように受け止めているとか、生まれたときから渋滞はあるから慣れてしまったなどと言う。しかし、これだけ人や物品の流通を阻害する渋滞が日々起こっている県は沖縄だけである。同じことが大阪や兵庫で起これば、知事はいったい何をやっているのかと県民から苦情が殺到するはずだ。渋滞こそ政治の力で道を整備すればなんとでもなる。
「沖縄の風に吹かれて」ではそんなことも書いていこうと思っている。教え子の高島が芦屋市長選に出馬した際、芦屋市を世界一住みやすい場所にすると豪語した。私は政治家ではないので沖縄を世界一住みやすい場所にとは言えない。が、文章を書いて、ヤマトンチュの視点を紹介することで、沖縄がさらによい場所になればいいなと思っている。「沖縄の風に吹かれて」、まだ読んでいらっしゃらない向きはこちらからお読みいただきたい。
木村達哉
追記
無料メルマガ「KIMUTATSU JOURNAL」を配信しています。メルマガを読みたいという方はこちらからご登録ください。週2~3通のメールが私から届きます。勉強について、英語について、幸せについて、人生について、お金について、書いています。