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「聞いているふり」は通じないだと?

2023.06.21(水) 08:00

生徒たちの腕にリストバンド型のディバイスを付け、そこから発せられる信号を読み取ることで子どもたちが集中しているかどうかが教員にわかる装置を実験的に使用し始めたというニュース(こちら)を読んで、げんなりしている。

私が生徒ならそのリストバンドを外して教師に返却するか、それが不可能ならば学校を退学し、通信制の学校に移る。自由が奪われるような学校で勉強しようとは思わない。その学校が生徒の力を伸ばすことなど不可能だからである。また、いちいちそのデータを見てチェックするような暇な教員がたくさんいるとは思えない。

そもそも集中に値する授業を教師は提供しているのか。生徒には集中を解除する自由も与えられないのか。集中したくないような授業に集中を課すのは一種の体罰ではないか。SNSにこの記事をアップしたところ、多くのまともな先生方から猛反対のコメントを頂戴した。当然であろう。

教員が生徒を管理しているような学校にまともな進学校がないことからわかると思うが、教員に管理されている以上、生徒は成績を伸ばすことなど不可能である。主体性という言葉が空しく響くのが学校社会であるが、生徒たちが自由に学びたいことを個別に学ぶことこそが重要なのであって、たかだか我々教員レベルの知能で管理していると、教員以上には育たない。

芦屋市長になった高島だって、ハーバード大学を目指し始めてからはおおよそ学校には来なくなった。卒業に必要な出席日数は満たしていたけれども、自分が必要だと思う学びが学校外にあるのであれば、それでいいのである。

教員も然り。学校に縛られているような労働環境だから教員採用試験の受験者が激減するのであって、民間のセミナーに出かけている小学校中学校高校の教員たちも極めて多い。空いた時間に海外で学んでいる教員もいる。ここで学ぼうと思うのは個人である。そこには常に「自由」がなければならない。学校に縛り付けるような文科省の下で働きたいマゾヒストが多いわけがなく、したがって教員採用試験受験者はどんどん減っていく。

どうしても人体実験をするというのであれば、ひとつ提案がある。国会でおやすみになっている政治家たちの腕に装着すればいかがか。誰が審議に集中しているのかをデータ化し、それを各メディアが公表するというのであれば大賛成である。県議会や市町村議会でも同様に議員たちが装着し、それを選挙前に公表すれば投票率が上がるのではないだろうか。また、もしもそれが実現すれば、岸田政権の支持率も驚くほど上がるに違いない。

文科省は教員を管理しようとし、教員は生徒たちを管理しようとする。日本は管理が大好きである。教育が堕ちていくのを強く感じる。この状態で海外からの留学生を増やすことなど不可能だろうし、海外の優れた人材が日本を選ぶとは思えない。いろんな意味で、悪手である。

木村達哉

追記
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