昨年の6月に『あなたのちからになりたくて』という絵本を鹿児島のラグーナ出版から出させていただいた。本当に「出させていただいた」という表現がぴったりはまるように思う。絵本の世界ではまったくの新人である僕の本を出してくださったラグーナ出版の方々には深く感謝している。
学校の保健室に置いています、図書室に置いています、あえて廊下に置いていますというご連絡を小学校、中学校、高校からいただくと、著者の想いを感じ取っていただいているのだなと嬉しく思う。
灘校を退職するにあたって、最初に書くべきは卒業できずに退学していった教え子たちへのメッセージだと強く思っていた。灘校ではなく地域の公立中学校に入学していたら神童と崇められたかもしれない子どもたちが、ふとしたきっかけで学校に通えなくなった。なかには自宅の部屋から出てくることができなくなってしまった子どもたちも。
そういった教え子たちに伝えきれなかったメッセージを、もっと人間ってのは気楽に生きていいんだよという思いを、こういう形で伝えられればいいなと思っていた。
昨日は福岡で英語指導者対象のセミナーを開催した。アルクのブースに絵本を積んでおいたところ、たくさんの先生方がお求めくださった。おひとりおひとりにサインをさせていただいた。我が子に読ませたいので息子の名前を書いてくださいとおっしゃる先生。学級文庫に置きたいのでクラス名を書いてくださいとおっしゃる先生。
ラグーナ出版が刷ってくださった部数を考えるとまだほとんど売れていないに等しい私の絵本だけれども、この本だけはなんとか絶版にならないでほしいなと思う。売れ残ったら全部私が買い上げて、世界中の子どもたちに配布してまわってもいい。そのために英語でもキャプションを書いた。
なにより自分の強い思いは「あとがき」に日本語と英語で書いた。そこも含めて読んでいただければ嬉しい。そして、なんだか生きていくのはしんどいなと思っている人たちがおひとりでも救われることを、強く願う。私の著作一覧ページにもコラムを書いているが(こちら)、このコラムだけでも読んでいただければ幸甚の至りである。
木村達哉
追記
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