今日は七夕。味もそっけもない書き方をすれば、ベガとアルタイルが年１回の激突をする日である。といっても両星は14光年離れているので、毎年出会おうと思えば驚異的な速度で移動しなければならないことになるし、どこかでワープせねばなるまいなんてロマンの欠片もないことばかり考えているからガキの頃からモテないのであろう。

七夕祭りに限らず、子どもの頃からお祭りは大好きで、盆踊り大会があると聞くと隣の村まで出かけていった。綿菓子、おみくじ、金魚すくい、射的など、悪友たちと一緒に小銭を握りしめては露店をはしごした。今になって思えば、なかなかに素敵な思い出である。いい時代に生まれたことに感謝したい。

私の故郷にはすでに子どもはほとんどいない。家々の周囲には誰が工事をしたのか、野生生物除けの電線が張りめぐらされている。誤って触れてしまったらえらいことである。村内に消防署はすでに無い。火事になったら隣の橿原市や桜井市から消防車が到着するまで消防団が力を合わせなければならない。老人ばかりの村。祭りの規模はおそらく小さくなっただろう。

それはおそらく私の故郷だけではなく、日本のいたるところで見られる風景なのだろうなと七夕の夜に思う。子どもが少なくなった日本。再び活気を取り戻すのは「異次元の少子化対策」が功を奏して30年ほど経ったときであろう。消防車が到着するまで間に合えばいいが、もしそうでなければ。

木村達哉

追記
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