代表作はと聞かれれば『新ユメタン』や『東大英語リスニング』と答えることになるので、どうしても木村といえばアルクというイメージを抱いている人は少なくない。確かに90の著作のうち、アルクから出したものが圧倒的に多いし、年間にアルク本社に行く回数とそれ以外の版元企業に行く回数を比較しても、やはり木村といえばアルクなのだろう。
しかし、数研出版から出した『5ステージ英文法完成』は毎年驚くほど多くの中学校・高等学校でご採用いただいているし、少子化で子どもが減っているのに売り上げは伸びている。『新ユメタン』と『5ステージ英文法完成』をセットで使っている学校も多く、したがって英語学習の土台である語彙と文法を鍛えられている子どもが多いということになる。数研出版の営業の方々には深く感謝している。
また、ラーンズから出した『Listening & Speaking Training Seminar』や三省堂から出した『まるまる』シリーズも少なくない学校で使っていただいているし、文英堂の『英語反復トレーニング』と啓林館の『英語リスニングBOX』も然り。大人用に出した(つもりの)『名スピーチリスニング』を使っている進学校もある。アルク以外の版元とも関係よろしく繋がっているのである。
今日は三省堂の編集と営業のお二人がわざわざ会いに来てくださった。私の本のご採用校のリストをくださったり、最近の出版事情について教えてくださったり。コーヒーを飲みながら笑顔を交わしていたのだけれども、「そういう話」にならない。いっこうに。
編集者が来ているってことは「そういう話」なんじゃないの?と思っていたのだけれども特に何も先方からの「話」がない。どうしてわざわざ東京からいらっしゃったのかなと思い始めた頃に、あるタイミングで結局「そういう話」になった。
英検受検者が増えているのに英語が苦手な生徒が増えているという現状を踏まえ、学校の勉強についていけない子どもたちに向けて本を作りませんかという「話」である。『まるまる』シリーズの採用が増えているということが大きく、同シリーズを拡大することになった。著者としては嬉しい限りである。
私の本と言えば、どうしても英語ができるようになってほしいという想いが強いものだからタフな本が多い。何回反復させるんだ?と学習者が思うぐらい、同じような問題や文例が何回も何十回も出てくる。そうでもしないと定着しないのである。
ただ、あまりにもタフな本にするとモチベーションの問題を抱える学習者にとっては手を出しにくいのも確かである。どういう本を作れば英語ができなくて悩んでいる子どもたちにとって痒い所に手が届くものになるかを考え、企画書を作ろう。
木村達哉
追記
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