中学1年生の講演のあとは、18時から保護者を対象とした講演会が行われ、多くの親御さんたちが視聴覚室にお集まりになった。若いお父さんお母さんが多かったように思う。演題は「伸びる生徒の親とは」でお願いしたいと依頼されていたが、こういう親の子は必ず伸びるという正解は存在しない。
親があれこれ指示しても素直に言うことに従う子どももいれば、私のように反抗的な視線を向ける子どももいる。単なるいち成功者の話だけを聞いて、「よし!我が家でもやってみよう!」と盲目的に従うのはかなり危険である。灘校で成功した保護者の本に従った結果、自分の子どもを不登校にした親を何人も私は知っている。
もしも第三者から学ぼうとするならば、複数の事例から自分の子どもに合った方法を模索しなければならない。それにしたって「我が家はこれでいく」という信念が親になければ、これまた失敗するのは明らかであろう。受験には仮に成功したところで、親子関係が悪くなったり、その子が「合格までのヒト」になったりするなら、まったく意味のないことである。
保護者にできることで特別なことはない。が、環境を整えるという要素は、もしも勉強する子に育てるのだとすれば大きい。特に、ご自分が勉強している姿、読書をしている姿を子どもに見せるという部分はかなり重要であろう。子どもに勉強を強いてばかりいて、自分は特に勉強しているわけではないという場合、子どもたちは親に倣って勉強しなくなる。
以前、ある講演で、子どもが全く本を読まないが、どうすればいいのかと質問された母親がいる。いろんな方法はあると思うが、あなたは家でどれぐらい本を読んでいるのかと質問すると頭をお抱えになった。要はご自分は本など読んでおられないのである。それでは子どもも本を読まないだろう。
親がかっこいい大人のモデルになること。教師も然り。こういう生き方をするのだという模範を示すことが何よりも大切な要素なのであって、それを抜きにしては他メソッドが活きることはない。
興南の保護者講演「親学塾」にご参加くださった沖縄の皆さん、どうぞ勉強を楽しんでください。親子とも学ぶ姿勢を持つ素敵なご家庭をお作りになることをお勧めします。またお会いするのを楽しみにしています。
木村達哉
追記
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