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僕の講演をお聞きになった人が教員に!

2023.07.24(月) 09:20

先日、ある若い方からメールを頂戴した。その方の担任の先生が私の講演をお聞きになって、教員を目指すことを決めたということであった。特に講演で教職の素晴らしさを説いたことはないので意外に思ったけれども、少なくとも私の講演がその先生の人生に影響を及ぼしたということである。

嬉しいというよりも身の引き締まる思いがした。

現在、教職を目指す若い人は激減している。佐賀県と北海道の今年のデータを見せていただいたけれども、保健体育科以外はほとんど「受ければ受かる」という状態である。能力が低いからといって落としていると来春の担任がまたぞろ不足することになる。教員の質が落ちていくのは書くまでもない。

お亡くなりになった安倍さんが首相だったときに教員免許更新制度が立ち上がった。民主党が廃止に追い込みますと言うものだから期待をしていたのだけれども、残念ながら超短命に終わった同党政権で廃止されることはなかった。そして、教員志願者激減を受けてようやく近年廃止となった。こういうのを泥縄というのである。

そもそも教員の良心や犠牲の上に成り立ってきた職種である。残業代云々が話題になっているけれども、そんなものが支払われるようになったからといって教員志望者が増えることはないだろう。何時まで職員室にいるつもりなのという先生方が全国にいらっしゃる。帰宅してからも採点である。昨夜は保護者と22時まで電話していましてねなんていう灘校教員が何人もいる。土日は無いと思ったほうがいい。部活動で全て潰れるからである。自分の子どもの面倒より他人の子どもの世話に時間を割く仕事である。

人間らしい暮らしがしたいと思う人は教員にはならないだろう。残業代なしなどは問題のほんの一部でしかない。急激な人口減少により、医師不足、看護師不足、介護士不足、建築業者の人材不足、ひいてはコンビニのバイトまで不足していると報道されている。この状態で「残業代を払えばいいんでしょ」で教員志望者が激増するとは思えない。

以前から書いているが、私がもしも然るべき大臣職に就いたら、公務員の給与を現在の2倍程度に引き上げるだろう。公務員の給与を引き下げていると民間の給料も下がり、結局は全体の給与が上がらないことになる。公務員を目の敵のように言っている向きがあるようだが、頭が悪いと言わざるを得ない。

学校も然り。給料は公立に準ずるという私学が大多数である。公立の先生方の給与が倍になれば、教員全体の給与が上がる。40代で1500万円程度の年収が支払われるとなればどうだろうか。やりがいだけを売りにするような時代はとっくの昔に終わっているのである。本当にまずいと思っているのであれば、これぐらいの改革をしなければ「異次元」とは呼べない。

木村達哉

追記
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