県立弘前高校という名前で最初に思い浮かべるのは太宰治である。小学校4年生のときに初めて『人間失格』を読み、よくわからなくて再読し、やっぱりわからなくて再再読し、そうこうしているうちにドはまりしてしまった私は、いつか太宰治になるのだと考えていた。
全く違う人生になってしまったけれども、本を出す仕事を選んだのは間違いなく太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、遠藤周作、浅田次郎、向田邦子といった文豪たちに憧れたからである。
その弘前高校で『新ユメタン』や『夢をかなえる英語リーディング』といった私の本を太宰治の後輩たちが使って英語の勉強していると、同校から講演依頼が届いて初めて知った。ちょうどねぷた祭りが行われる日程での依頼だったので、二重に楽しんだ。それが昨年8月。
今年はどうかなと思っていたら、またしても4月に依頼が舞い込んだ。返事は「YES」か「はい」に決まっている。即座に飛行機とホテルの予約をした。その時点ですでに帰りの飛行機は満席であった。新青森から仙台へ、そして仙台空港から飛行機に乗らざるを得ないことがわかった。が、全く問題ない。
難関大学に合格したい生徒たちを対象に、どういう計画を立てるか、どういうふうに成績を上げるか、受験に於いて気をつける点はなにか、英語力をどう伸ばすか、他教科において気を付けるべき点は何か等々について3時間×2日間の授業を行った。喜んでいただけたなら嬉しく思う。
私の授業に参加していたのは生徒たちだけではない。先生方が教室後方に陣取っておられた。なかには他教科の先生方もいらっしゃったそうだ。特に東大や東北大といった難関大学に生徒たちを導くためには、教員がスケジュール管理をしてやることは大切な要素である。弘前高校の生徒たちは熱心な先生方に囲まれていて幸せだと思う。
校長先生から「私が校長をしている限り呼びますから」と言っていただいた。ねぷた祭りだけでなく、奥入瀬渓流や十和田湖、県立美術館や文学館を堪能した。青森県は、数多くの偉人文人を輩出しているだけのことがあり、極めて学びの多い場所だと痛感する。生徒たちにはそれらの施設を利用しながら経験値を高めてほしい。また、私の話が彼らの学びに役立ったのであれば、幸甚の至りである。
いつも窓口になってくださっている舘田先生には感謝の気持ちでいっぱいである。舘田さん、来年の講演依頼、お待ちしております!
木村達哉
追記
8月11日の東京ロングセミナーは申込人数がかなり増えました。ありがとうございます。ラサールの丸山君、聖光学院の佐藤君とともに、生徒たちをどう鍛えているか(いたか)についてお話をします。お申し込みはこちらです。よろしくお願いします。