終戦記念日。と言ってもアメリカの終戦記念日は9月2日。日本の降伏調印式が1945年9月2日、東京湾上に浮かぶ米戦艦ミズーリ号で行われ、文書上正式に日本が降伏して戦争は終わった。中国が終戦記念の軍事パレードを予定しているのは9月3日。中国はこの日を「日本の侵略に対する中国人民の抗戦勝利日」としている。つまり、8月15日は日本の終戦記念日なのである。

日本がポツダム宣言を受諾したのは8月14日である。そして、それは世界中に公表されていた。知らなかったのは日本国民だけである。政治家や軍人の一部を除いた大多数が翌日の天皇による放送を聞いて敗戦を知ることとなった。

アメリカではすでに8月14日に日本が降伏することが報道されていた。トルーマン大統領はポツダム宣言の内容をアメリカ国民に説明し、日本が受諾したことを告げていた。そして、戦勝記念日を9月2日の降伏文書の調印を見たうえで公布するとしていた。

この写真はミズーリ号の内部で撮影したものだ。現在は真珠湾に浮かんでいるその戦艦を訪れたのはコロナが蔓延する２年前。それほど高くない料金を支払ってミズーリ号のツアーガイドをお願いしたところ、途中で次のようにおっしゃったのを今でも鮮明に覚えている。

No one died on this ship.

ミズーリ号には零戦が突っ込んでできた傷が残されている。甲板には大きく凹んだ場所もある。まごうことなく、この船で人と人とが殺し合ったのである。そしておそらく、No one diedには日本人は含まれていないのだろう。そういったことはネットではわからない。現地を訪れ、人の話を聞かないとわからないのである。その点で、ネットで全て済ませようとする姿勢は知識人のそれではない。

平和を願う気持ちは誰もが持っているのではないか。それなのに現在も戦争は世界中で、大小を問わず、起こっている。人と人とが殺し合っている。人間ってなんなんだろうなと思う。Twitterを覗くと匿名が記名を嗤っている。匿名どうしの、議論とは到底呼べない醜い言い争いも。ここかしこで起こる小さい戦争。

終戦記念日。私の周囲だけでも笑顔でいてくれればと強く願う。

木村達哉

追記
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