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旅先作家

2023.08.23(水) 11:00

灘校を辞めたら執筆に集中できるかと思っていたが、まったくそうでもない。さまざまな学校や教育機関が講演なりセミナーなりの依頼をくださるからである。知らない場所をうろうろするのは大好きなので、遠くの学校から依頼があると小躍りしながらメールの返信をする。そんなわけでどんどん講演が増えていく。

9月は東京、沖縄、高知、また沖縄、また東京、岡山、山形と続く。学校訪問は3校。高知高校は2年連続2度目、明星高校(東京)は久しぶり、酒田西高校(山形)は毎年呼んでくださるので、多くの先生方とSNSでつながっている。飲むのも決して嫌いではないので、昼は生徒たちと、そして夜は先生方と、笑顔を交わし合う。さほど高くはない講演料だけれども、カネをもらって幸せにもしていただけるのである。こんなありがたい話はない。

ただ、残念なのは旅先をうろうろすることができないことが多いという点である。浅田次郎先生が川端康成先生に憧れ、あちらこちらに赴いては原稿を書く「旅先作家」を名乗ろうと意気込んでいたが、講演が終わったら即座に別の場所に行かねばならず、とても「旅先作家」などとは名乗れないとある文章に書いておられたが、私もまったく同じである。

言うまでもなく浅田先生ほど多くの依頼があるわけではないのだろうけれども、それでもA地点からB地点へと、そしてそのままC地点に行かねばならないときなどは、スーツケースの洗濯物を自宅に送りながらの移動となり、優雅に原稿を書き進める時間的余裕はない。帰りの飛行機に乗り込むときに、来年こそはもっとゆっくりとこの地で過ごしたいと思いながら、今のところそれが実現したことはほとんどない。せっかく宮仕えから解放されたのだから、旅をゆっくり楽しみたいものだ。

木村達哉

追記
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