講演を依頼されると、依頼内容にもよるけれども「せっかく生まれてきたんだから幸せに生きたいよね。だとすれば、幸せに生きるにはどうしたらいいかを考えないといけないね」とオーディエンスに話しかけることにしている。相手が子どもであっても大人であっても。
どうすれば幸せに生きられるのかを何点かのポイントに分けて考える。
1点目は、そもそも幸せに生きようとしているかということ。ジョブズの講演ではないが、今日が人生の最終日だとして、今からやろうとしていることを本当にやるのかを毎朝問うとする。そりゃ毎日やりたいことだけでは生きていけないかもしれない。が、やりたくないことだらけの毎日では幸せではないように思う。
2点目は、やりたいことをやるだけのカネはあるのかということ。例えば私の場合、いろんな場所でいろんな方々と交流をするにつけ、こういうのを幸せというんだなぁなんて思うことが多い。が、北海道にしても福島にしても広島にしても沖縄にしてもどこにしても、行くにはそれなりのカネが要る。東日本大震災後に多くのNPOが立ち上がったが、その大部分が消えてしまったのは資金不足。カネがないとボランティア活動もできないのである。
3点目は、周囲の人たちに笑顔になってもらっているかということ。私だけが幸せだなぁと思ってばかりいるのはマスターベーションである。私と一緒にいて幸せになってもらえないとつまらないように思う。したがって、その意味でも私の健康は最重要だし、私のレベルが低ければ周囲はつまらないだろうなとも思う。一緒に笑顔になってくれる人がいるからこそ幸せなのである。
講演ではそういう話をすることもあり、聞いている人たちに、人生について、そして幸福について、自分で考えていただく。自分のライフを絵にしたとき、背景を薔薇色や黄金色に塗ることはできないにしても、少しでも明るい色にするためにはどうすればいいかを考える習慣を身につけることで、改善点が見えてくるんじゃないかと考える。
私は自分の人生と幸福をじっくり考えて灘校を退職したが、時間に流されて生きていると人生の背景色すら考えることなく死を迎えることになるかもしれない。せっかく生まれてきたのだから、幸せに生きたい。笑顔で死にたい。
木村達哉
追記
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